そもそも、Eコマースとは?
Eコマースとは、日本では「電子商取引」という名称でも知られていますが、ざっくり言うとインターネット上でおこなわれる取引のことです。ある会社がオンラインで商品を売っているなら、それはEコマースです。たとえばAmazonは、Eコマース業界でもっとも知られているサイトの1つに数えることができます。
この記事では、Eコマースの歴史や、関連する統計情報、プラットフォームなどについて、幅広く解説していきます。
目次
1 Eコマースの歴史
9 Eコマースの未来
Eコマースの歴史
Eコマースの原型がはじめてこの世に誕生したのは1979年のことです。 Michael Aldrichがテレビとコンピュータを電話線でつないだことに端を発します。今のわたしたちが知っているEコマースの姿とはだいぶ異なるものでしたが、彼の実験は、実際の店舗に行かなくても買い物ができるというアイデアを呼び起こしました。
当時はまだコンピュータを持っている人などほとんどいない状況です。ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスはコンピュータを「パーソナル」なものにしようとします。ゲイツは「コンピュータを一家に一台、デスクに一台」というビジョンを実現するのが自分のゴールだと言いました。仮にパソコンが生まれなかったら、Eコマースは現在とはまったく別のものになっていたでしょう。
1994年にはジェフ・ベゾスがAmazonを立ち上げ、100万種以上の本をオンラインで売りはじめました。結果的にAmazonは、本に限らずあらゆるものを購入できるサイトとして、もっともポピュラーなEコマースのストアとなりました。
90年代半ばから2000年代の前半にかけて、パソコンが一気に普及したことで、Eコマースが躍進する準備が整います。オンライン決済の仕組みができあがっていなかった90年代のなかばまでは、企業は小切手を顧客から受け取っていましたが、1998年の12月にPayPalが登場し、クレジットカードを使ったオンライン決済が劇的にシンプルになりました。
2008年までには、業界全体の売り上げのうち3.4%がEコマースによるものとなり、その成長が見てとれます。2014年には、1,200万〜2,400万のオンラインストアが世界中に存在していたと推定されています。
Eコマースに関する統計
- 2023年までに、世界のEコマースの売上高は700兆円以上に達すると予測されています。Eコマースは目下成長中の収益性の高い業界といえるでしょう。
- 2020年の新型コロナウイルス感染症の流行によって、米国のEC化率は20%以上となりました。
- 米国では2021年までにオンラインで買い物する人が全体の53.9%になると見積もられています。
- 2021年までに、世界中で21億人以上の買物客がオンラインで商品やサービスを購入するようになると予測されています
- 女性は男性よりも頻繁にオンラインショッピングをしています。オンラインで使われる10ドルあたりで換算すると、女性が6ドル、男性が4ドルを使っていることになります。
- 18〜34歳のミレニアル世代は、年間2,000ドルをオンラインショッピングに費やしていて、ほかの世代と比べてオンライン消費が一番多い世代となっています。
Eコマースのビジネスモデル
・B2B:B2Bは「business to business」のことで、企業同士の取引を指します。AlibabaはB2Bモデルの典型で、そこではサプライヤー企業がほかの企業に向けて商品を販売しています。Alibabaの価格がとても安いのは、購入側の企業が小売で利益を出せるように、卸売価格になっているからです。
・B2C:B2Cは「business to consumer」の略です。ここには、一般消費者に向けて企業が販売をおこなうビジネスが含まれます。もしあなたがネットショップをはじめるとしたら、企業相手ではなく消費者向けのものになる可能性が高いでしょう。Amazon、楽天、AppleなどがB2Cにあてはまります。
・C2C:C2Cは「consumer to consumer」、つまり消費者同士の取引を指します。C2Cの例として挙げられるのは、メルカリ、ヤフオク!、eBayなどです。これらのサイトで販売をおこなう人たちの大半は、プロではなく、中古品なり新品なりを販売する一般的な消費者です。
・C2B:C2Bは「consumer to business」のことです。ここでは一般の個人が企業や組織を相手に商品・サービスの販売をおこなっています。たとえば、写真家が作品を企業向けに販売することなどが考えられます。
Eコマースの一般的なタイプ
・物理的な製品を売るサイト:実店舗をもっている小売業者がオンラインを通じて広範囲に向けた販売をすることは、このタイプに当てはまります。実店舗を増やすことなく、売上を伸ばしたいときに最適なオプションです。
・サービスベースのサイト:フリーランサーやオンラインサービスプロバイダが、見込み客との接点を構築するためにWEBサイトを活用することが近年大きなトレンドとなっています。
・デジタル商品を販売するサイト:ソフトウェアやビデオゲームのようなデジタルプロダクトは、消費者がダウンロードすれば取引が完結するので実店舗で販売する必要がありません。コスト削減によって利益率が高まるため、このタイプのEコマースは非常に成長力が高いです。
・ドロップシッピングサイト:このタイプは物理的な商品を販売するサイトに近いのですが、少し違っていて、彼らはオンライン上での販売をおこないながら、在庫を保持していません。売る商品のサプライヤーと提携し、オンラインでユーザーが購入できるようにしておきます。購入が発生すると、サプライヤーが代わりに商品を発送します。
Eコマースプラットフォームとは?
Eコマースプラットフォームは、企業がオンライン上にストアを構築できるように開発されたソフトウェアソリューションです。ここでは、企業は配送サービスなどの仕組みを活用して世界中の顧客に製品やサービスを販売することができます。このEコマースプラットフォームの例としては、Shopify、BigCommerce、Magentoなどがあります。
Shopifyは、Tobias LütkeとDaniel Weinand、Scott Lakeによって2004年に設立されました。2020年には、1,000,000万店以上のビジネスオーナーがShopifyを利用していて、総額で21兆円以上を売り上げています。Shopifyのプラットフォームでは、さまざまなアプリをダウンロードして活用することができます。
有名なEコマースサイト
・Amazon:ジェフ・ベゾスが立ち上げたAmazon.comは、Alexaによれば今のところ世界で11番目に有名なサイトとされています。
・Taobao:ジャック・マーによるTaobaoは、世界ランクで8位となっています。
・Tmall:こちらもジャック・マーが設立したサイト。世界ランクでは3位と成長しています。
・AliExpress:続いてもジャック・マーが立ち上げたAliExpressは世界で41位にランクインしています。
・eBay:Pierre Omidyarの設立によるeBayは、Alexaによれば世界で39位となっています。
・楽天:楽天は1997年に三木谷浩史が前進となる会社を立ち上げました。日本で最も有名なEコマースサイトのひとつです。
(順位は変動しています)
Eコマースを成功に導く秘訣
ネットショップを構築して、商品を用意さえすれば、お客様が来て買ってくれるわけではありません。Eコマースの運営はそれほど楽ではないのです。成功するために気をつけなければいけないことを見ていきましょう。
- ユーザーを中心に考える:あなたはオンラインでビジネスをする以上、基本的にはどこのだれに対して何を売るかは自由です。しかし、ユーザーに信頼されるWEBサイトがどんなものなのかを理解しておく必要があります。デザインテーマ、ブランディング、コピーのトーン&マナー等を最適化しなければいけません。そして、ターゲットを広げすぎて混乱しないためにも、1人か2人の特定の人に向けたサイトになるよう心がけてください。
- 友人でテストする:友人に実験台になってもらいましょう。実際にストアでの購入を体験してもらい、購入プロセスが複雑すぎて離脱が起きないかどうかを事前にチェックしておきます。
- モバイルに最適化する:モバイルでもデスクトップでも同じように使いやすく購入しやすいようにしておく必要があります。どの業界においてもモバイル利用者は増える一方なので、Eコマースで成功するためにはこの流れに対応することが求められます。
- SEOとPPCに投資する:SEOとPPC(クリック課金型広告)はあなたのストアへのトラフィックを増やすので、成功のために欠かせない戦術となります。小規模な予算であってもかまわないので、コンサル会社やエージェンシーを見つけて予算をかけて施策をおこない、売上への影響を確認してみましょう。
- 研究開発に努める:現状に満足することなく、つねに新しい商品やマーケティング手法をリサーチしてください。ネットショップの中身を毎月入れ替える必要はありません。そうではなく、革新的な方法で注目を集め、ストアを成長させるよう試みましょう。
Eコマースマーケティングとは?
Eコマースマーケティングは、おもにオンライン上のプラットフォームを通じておこなわれる、売上増加をサポートするプロセスのことです。ブランド認知キャンペーンや、ディスプレイ広告、ディスカウントQRコードなどが含まれます。だいたいのEコマースマーケティングの戦術は、従来のマーケティング業界の戦略をオンラインに適用したものといえるでしょう。
現在オンライン広告を支配しているのは、Google AdsやSNS、大手プラットフォームです。チラシやパンフレットといった媒体は、Eメールマーケティングに置き換えられています。ほかのEコマースマーケティングの例としては、アフィリエイト、SNSマーケティング、ビデオマーケティング、インフルエンサーマーケティング等が挙げられます。
Eコマースの未来
EC業界はこれからも成長を続けるでしょう。過去数年の流れを受けて、Eコマースは今後も時間の経過とともに、実店舗経済のシェアを奪っていくものとみられています。これは、ネットショップをはじめたいと考えている人にとっては良いニュースといえます。しかし、オンラインでの総売上額は上昇する一方ですが、別の見方をすると、この領域での競争が激しくなっていくことも事実です。
Eコマースは今後も進化を続け、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)によって新しいショッピング体験をうみだしていくでしょう。アパレル系ストアであればバーチャル試着機能によって、ユーザーは服が自分にフィットするか、どう見えるかを事前にチェックすることができるようになります。また、スマートフォンなどモバイルデバイスのカメラを通じて、メイクを試してみるという体験も可能になりますね。
原文:Nicole Martins Ferreira 翻訳:深津望