東大で最も日本一に近い運動部 アメフトの「東京大学WARRIORS」が大学スポーツを変える!

 「東大アメフト部」。そう聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか? 2018年に関東学生アメリカンフットボール連盟の下位リーグ「BIG8(ビッグエイト)」から1部上位リーグ「TOP8(トップエイト)」に昇格した東京大学運動会アメリカンフットボール部「東京大学WARRIORS」は、東大の数ある運動部の中でもっとも日本一に近いポジションにあるチーム。2017年から「未来を切り拓くフットボール」の理念のもと、大胆な改革をスタートし、昨年にはその一環としてECサイトもオープンしました。「東京大学WARRIORS」の改革の狙いや現在の取り組みについて、マーケティングコーチの岩田真弥氏とマーケティングスタッフの向井美音氏にうかがいました。

■スポーツ改革を推進中

2017年、「東京大学WARRIORS」のヘッドコーチに、森清之氏が就任しました。2001年に鹿島ディアーズ(LIXILディアーズの前身)のヘッドコーチに就任し、2010年の日本選手権・ライスボウルを制覇した後、2011年、2015年と世界選手権に出場した日本代表のヘッドコーチを務めた森氏は、日本におけるアメリカンフットボールの神様のような存在といっても過言ではありません。その森氏を迎え入れた「東京大学WARRIORS」の狙いは、TOP8で常に優勝争いをするチームに成長し、日本一の栄冠を手にすること。岩田氏は言います。

「監督が一生懸命口説き落として、森さんにヘッドコーチを引き受けていただきました。私もずっとアメリカンフットボールをやってきたので、こんなに光栄で幸福なことはない。学生たちの成長を身近に見られるのもやりがいがありますね。皆、本気で日本一を目指しています」

東大では2017年からスポーツ改革を推し進めています。その一環として立ち上がったのが、一般社団法人東大ウォリアーズクラブ。学生日本一を目指す過程で学生の成長を促すことを目標に掲げ、「東京大学WARRIORS」からの委任を受けて、活動のための資金調達や管理、監督人事などの業務を担う団体です。

「現在の大学スポーツは任意団体に過ぎず、何かあっても誰も責任を取る人がいません。長い人生の中でスポーツに注ぐ時間はほんの一部。その後の人生も非常に大事ですから、当団体では学生がスポーツに打ち込める環境整備や安全対策に力を入れ、例えば、防具については安全性が高いヘルメットを採用しました。トレーナーや栄養士にも大人が入って管理をしています。アメフトは選手だけではなく、スタッフが重要な役割を果たすスポーツですから」

極度なしごきや過度なトレーニング、一部への権力集中、事故の多発、自浄作用の低下。日本の学生スポーツの世界には多くの問題が横たわっています。そうした事態を防ぐため、東大ウォリアーズクラブではガバナンスにも注力し、各年代のOBや保護者の代表などが集まり指名を受ける代議員制度を採用しています。

「ヘッドコーチや監督が暴走しそうなときに歯止めが効く体制を整備しました。大学スポーツとしてはかなり特殊な取り組みかもしれませんが、今後は少しずつ増えていくと思います。アメリカでは大学にアスレチックデパートメントがあり、きちんと責任を取った上で体育を運営している。目指すはこの体制ですね」

改革を進めるにあたってロゴもリニューアルされました。色はスクールカラーである淡青「TOKYO BLUE」と、シンボルである銀杏を表す「ICHO GOLD」を採用。形には、安田講堂など構内の建物の随所に見られるゴシック調のデザインが投影されました。東京大学のアイデンティティそのものといってもいいこのロゴは、東大のスポーツ全体を盛り上げるため、各チームで共同使用されています。

「すでに6つの団体が同じロゴを使っています。同じロゴを使って活動しているアメリカの大学の運動部のように、ロゴを浸透させていきたいですね。ブランディング力向上も自分たちの役割です」(岩田氏)

■部員勧誘のための小冊子を内製化

現在、「東京大学WARRIORS」の部員は約150人。選手だけでなく、トレーナーやマネージャー、選手のコンディション管理やデータ管理を担当するシステムエンジニアも含めた人数ですが、ちょっと前までは200人ほどの部員がいたとか。向井氏は言います。

「コロナ禍でさまざまなイベントがなくなり、部員のリクルーティングには苦労をしています。オンラインで対応していますが、なんとか増やしていきたいですね」

東大の入学生にアメフト経験者はほとんどいません。経験がない学生を勧誘する際に大きな力を発揮しているのが、毎年マーケティングスタッフが中心になって作成しているリクルーティングのための小冊子「リクルートパンフレット」です。選手向けの「プレイヤーガイド」とスタッフ向けの「スタッフガイド」の2種類があり、どちらも内製化しているとは思えないプロ級の仕上がりです。

「プレイヤーガイド」は、「東京大学WARRIORS」のポリシー、監督やコーチ、選手たちの紹介、スケジュールはポジション紹介、新型コロナウイルス感染防止対策、部員に聞いた「勉強と部活の両立方法」、OBの座談会など盛りだくさん。「スタッフガイド」では、チームを支えるマネージャーやトレーナー、マーケティングスタッフ、スチューデントアシスタント、システムエンジニアを担当している学生に取材し、それぞれの役割ややりがいがリアルに紹介されています。

迫力満点の写真を用い、オールカラーでまとめられた小冊子から伝わってくるのは、選手と選手たちを支えるスタッフがみな、本気で日本一を目指しているゆるぎのない姿勢です。興味を持ってほしい、一員になってほしい、一緒に日本一のチームを作ろう。誌面にほとばしる圧倒的な熱量は、「東京大学WARRIORS」の大きな武器といえるでしょう。

■Tシャツを着てスタンドを青く染めよう

ECサイトは昨年9月にオープンしました。担当の向井さんは言います。

「2020年は新型コロナウイルスの影響で春シーズンがすべて中止になり、その後も無観客試合が続きました。通常は試合会場で販売しているグッズをファンやOBの方に手にとってもらう機会がなくなったので、ECサイトの開設に踏み切りました。前から予定はあったんですが、コロナのために予定が早まった形です」 

Shopifyを選んだ理由は、スポーツチームや選手を「ギフト」で応援できるコミュニティ型 交流アプリを手掛けているエンゲートとの連携がきっかけでした。

「エンゲートさんからいろいろアドバイスをもらいながらECサイトを運営しています。Shopifyもその中で紹介してもらいました。Shopifyはとても使いやすいですね。導線がわかりやすいので、順番に従って操作するだけで簡単にサイトができました」(向井氏)。

現在、ECサイトで販売しているのは、Tシャツやスポーツタオル、キーホルダー、イヤーブックなど15点の商品。もちろんすべて「東京大学WARRIORS」のロゴ入りです。一番の売れ筋はシンボルカラーの青がまぶしいTシャツ。

「Tシャツを着てスタンドを青く染めようというスローガンを打ち出しているので、青いTシャツは人気がありますね。ただ、青いTシャツは普段使いが難しいので、黒のTシャツも出しています。こちらも好評ですよ」

商品化するアイテムは、他大学のアメフト部や他のスポーツチームの商品を参考にしながら保護者やOBの意見も踏まえつつ、皆に手にとってもらいやすい商品は何かを追求した上で決定されます。購入者は保護者やOBが中心ですが、「東京大学WARRIORS」の純粋なファンも少なくないそうです。

「遠方からの注文も多いんです。遠くに住んでいるのに『東京大学WARRIORS』を応援してくれるのは本当にうれしい。今年の夏には新しいTシャツも出す予定です。ラインナップを少しずつ充実させて、『東京大学WARRIORS』のロゴを広めていきたいですね」

■みなが「自分ごと」として日本一を目指す

新型コロナウイルスの威力はまだ衰えず、春の定期戦の開催がまだ確定していないなど、チームの運営にはつらい日々が続いていますが、マイナス面だけではないと向井さんは言います。

「対面で会えない分、ZOOMなどを使ってミーティングで以前よりも皆と密に連携を取っています。選手とスタッフが混ざった少人数のグループを作って意見交換をしたり、いま何をやっているかを報告できる場を設けたんです。コロナがなかったら話をしないままで終わっていたかもしれない人とコミュニケーションが取れるようになりました。また、日本一に近づくためには何が必要なのかを立ち止まって考えてスタートできる契機にもなったと思います」

「東京大学WARRIORS」は、大学からの資金協力はほぼゼロ。自分たちで一から資金を調達していかなければなりません。資金面で恵まれ、ポジションごとにコーチをつける余裕がある私大の強豪校との大きな違いですが、岩田さんはこう語ります。

「強くなるには環境整備が欠かせません。それがなければ日本一にはたどりつけない。そこをマーケティングスタッフが担っていきます」

二人の口から何度も飛び出した「日本一」という言葉。選手とスタッフがともに共通のゴールを目指し、「自分ごと」として日本一に向かって走り続ける姿はチームスポーツそのもの。「東京大学WARRIORS」は、究極のチームスポーツといわれるアメリカンフットボールの魅力を如実に体現しています。


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