おもちゃ屋さん × YouTube × 越境ECで大成功!「何をやっても無駄にならない」農家から転身して起業家になった物語

おもちゃ屋さん × YouTube × 越境ECで大成功!「何をやっても無駄にならない」農家から転身して起業家になった物語

「おもちゃ屋さんとしてラジオ番組を持っていて、しかもお客さんのリクエストに答えて、その場で音楽をかける。あまりないと思いますよ。無茶苦茶なことをやってると自分でも思うし、お客さんも楽しんでくれていて、それが、僕も楽しいんです。」

愛媛発のおもちゃ屋さんのCSTOYS International。普通のおもちゃ屋さんとは一線を画した方法で越境ECで大成功を収めています。

そのひとつがYouTube。でも、おもちゃ屋さんがYouTubeをどのように活用するのでしょうか。

今回、ご紹介するCSTOYSの清家さんは元々は英語教師。その清家さんがYouTubeや今までにない斬新なアイデアを活用して越境ECで成功したストーリーをお伝えします。

農家からラジオ&テレビパーソナリティへ

愛媛県のみかん農家で生まれた清家さん。小さい頃からなんとなく将来はみかん農家を継ぐのだろうと思っていました。しかし、ある日気が付きます。「うちのやり方で食べていけるの?」このときはみかん価格がピーク。しかし、価格はどんどん下がっていきます。そのときに「どんなにがんばって働いても自分たちではコントロールできないものがある」と気づいた清家さんは自分で道を切り拓くため、海外農業派遣制度を利用して米国に飛び込みました。

アメリカで花卉産業の生産や販売、流通の現場を通じて「経営」について学んだ清家さん。その後、日本に帰国してからも英語の勉強はぜひ続けたいということで、個人的に英語を教える仕事も始めてみたら、やがて専門学校の先生や高校の代理教員の仕事に出会います。また、英語を使ってテレビコマーシャルなども手伝ったことから、メディアの仕事が舞い込んできます。

「そうこうしているうちにラジオ番組をやるという話になって、エフエム愛媛で番組担当を2年間やらせてもらいましたし、その次はローカルテレビのバラエティー番組で半年くらいパーソナリティもさせてもらいました。こういった経験は、その後のキャリア形成にとても役立ちましたね。」

「この頃に強く印象に残ったのはメディアが与える影響の大きさでした。地元に両親が住んでいたのですが、僕はもう農家ではありませんでした。そのことで、両親は一部の人たちから『息子さんはアメリカまで農業の勉強に行ったのに一体何やってるの』と言われていたそうで、親に心配をかけていることが精神的に一番苦しかったですね。当時はインターネットなんてありません。

「農家」という誰もがわかりやすいカテゴリから飛び出て、英語を教えているらしいという怪しい情報(笑)しか地元の人たちには知る術もありませんでしたから。ところがラジオやテレビで番組を持ち始めた頃から、両親に届く地元の声に変化が起きたんです。」

「お宅の息子さんがラジオに出とったで。」

「息子さんテレビに出とるなあ。」

「それまでとは違ったポジティブな声が両親の耳に届くようになったと聞いています。もちろんそれで全てが理解されているとは思いませんが、少なくともこの時の体験は、メディアの影響力について考えさせられました。」

パワーレンジャーの世界へ

「長年英語を教えて気が付いたのは、あるジレンマでした。英語の実力をつけていく学生たちを誇らしく思いながらも、彼らには英語を生かす環境が身近にないということでした。地方に生活するせいでしょうか、当時は将来を考えた時に英語を使う仕事に英語の先生以外のオプションが見えませんでした。英語の先生が英語の先生を育てているだけでは仕事としての限界があるし、社会としては成長していないと思うんです。」

「英語があって、インターネットがある。地方でも国際的なビジネスができるはず」

「この時代だからこそ、英語を使うビジネスでいろいろな可能性を示したい」

そう思っていた清家さんは留学のときに知り合ったアメリカ人の友達に日本で再会します。彼がパワーレンジャー(日本のスーパー戦隊シリーズの英語版)の大ファン。そして、日本と海外の玩具マーケットの違いに着目、彼と一緒にビジネスをやろうということになり、ECの世界へ足を踏み出します。

CSTOYSとファンの皆さん

こうして立ち上げられたCSTOYS Internationalは、ビジネスの成長のきっかけとなった、全米最大のパワーレンジャーイベント、パワーモフィコン(Power Morphicon)に出店を開始します。このイベントは2年ごとにアメリカのカリフォルニア州で行われ、世界から多くのパワーレンジャーのファンが集まります。

パワーモフィコンのロゴ

CSTOYSも2010年に初めてブース出店し、2012年には清家さんはイベント開催地で本格的に現地ブースで商品を販売することを決意します。でも、ひとつ問題がありました。国境を超えて現地で物販をするにはいくつかの高いハードルがあったのです。

「海外旅行で買い物をするのはとても簡単ですよね。でも逆に海外で物を売るには、税金や許可書、そして現地銀行口座の準備などの様々な手続きが必要です。クレジットカード決済の問題があります。アメリカで物販をするのに、カード決済を受け付けられないのというのは大変困ります。日本人がアメリカでクレジットカードを作るにはソーシャルセキュリティナンバー(社会保障番号)などが必要なんですよ。『これでは進められない』とあきらめかけたのですが、実は私、30年前の海外農業研修でアメリカで働いていたときにソーシャルセキュリティーナンバーを取得していたのを思い出したんです。30年も経って役に立ったんですよ。鳥肌が立ちましたね。しかも、パワーモフィコンが行われている場所はカリフォルニア州パサデナ市。僕が研修していたところなんです。今まで一見バラバラに見えていたこが、どんどんと繋がっていくのを感じましたね」

そして、CSTOYSは2014年にShopifyを導入して初めて現地のイベントブースで販売を開始しました。「Shopifyが提供するPOSアプリは大変使いやすく、iPadにカードリーダーを装着することでお客さんと会話をしながらスムーズなクレジットカードや現金決済ができるのは本当に助かりました。」と清家さんは教えてくれました。

商品を販売するCSTOYS

2010年以来、毎回パワーモフィコンに参加しているCSTOYSは今年2018年も参加し、ブースではYouTubeのライブ配信を世界中に発信しながら、オンラインとオフラインの両方で多くのファンと交流するとのことです。

パワーモフィコンで生放送を行うCSTOYS

人の顔が見えるサービス

CSTOYSがネットショップで最も力を入れていることが、「人の顔が見えるようなサービスをする」ことです。

「基本的にオンラインストアはクリックだけで物を買い、商品が配達されてくるという文化じゃないですか。便利だけど、それがものすごく冷たく感じるんですよね。ネットを隔てていて、しかも画面の向こうの顔は見えないですし」

そこで、CSTOYSはお客様には顔が見えるサービスを提供することに取り組んでいます。例えばYouTubeのライブ機能を使って商品を梱包する動画配信し、商品レビューや新商品入荷などの生放送を行ったりしています。とにかく画面の向こう側にいる顔を見せるようにしています。

 「顔が見えるサービス」を行うには、CSTOYSがどのようにお客様にお買い上げいただいた商品を扱い、大切に梱包し、送り届ける努力をしているかを、お客様自身に見ていただく必要がありました。そこで商品梱包前後の写真を撮影、また同時にYouTubeで梱包用の生配信アカウントを作って、梱包の様子を写真と合わせて公開することにしたのです。

「写真はFlickr(写真共有サイト)に自動的にアップロードされ、またIFTTT(情報共有連携サービス)を使うことで、同時に写真とインボイス番号をTwitterに流すことも可能です。 CSTOYSのTwitter(@cstoys)のフォロワーになれば、自分の注文した商品がいつ発送され、どのように梱包されたのかがわかります。さらに、これらの写真と動画は自動的にCSTOYSのサイトにも掲載されるのですが、こうすることでお客様は他の方の購入された商品たちも目にすることになりますので、CSTOYSが多くの人によって使われているサービスだという安心感を持つことができるのです。そして、何よりも、購入後にもう一度サイトを訪れてくれることで、次の購入に繋がるチャンスが増えます」

「後から気づいたんですけど、お客さんを安心させるために写真を撮っていたのが実は同時に他のお客さんも安心させていたというのは面白い発見でしたね。それはこつこつやるしかないことですけどね。」

CSTOYSの梱包写真ページ

お客様は自分の商品がしっかりと梱包されているのを確認できます。越境ECで海外から商品を発送してもらうときにお客様が心配なことのひとつは、ちゃんと発送されるのか、騙されていないのかなどです。そのような疑問点に対してCSTOYSは画期的な解答を生み出しました。

「これをやることで人の手が動いて商品が届くんだということをお客さんにもわかってほしいですね。そして、僕たちもそれが伝わるサービスを提供していきたいと思います。」

しかし、CSTOYSはそれだけでは終わりません。この梱包動画で使われている注文番号を使って、生放送でくじ引きをして、当選した人には次回使うことができるShopifyが持つ機能の一つである「ギフトカード」を発行、プレゼントしています。「お客様にお得感を与える」。これも成功には大事なことです。

これは使いやすいぞ!Shopifyとの出会い

元々、eBayの子会社だったProstoresというプラットフォームでサイトを運営していたCSTOYSでしたが、突然 Prostoresは閉鎖されることになり、サイトを引っ越さなければならなくなったのが、2014年。そこで見つけたのがShopifyとのことです。清家さんは最初に出会ったときのことを次のように振り返ります。

「Shopifyさんが伸びているという話を見て、これは良さそうじゃないか思って試しにやってみました。すると、『これは使いやすい!』とすぐにわかりました。また、とても大事だったのが僕だけじゃなくてうちのスタッフにも理解できることです。当時のShopifyはすべて英語だったのですが、これならすぐ慣れるんじゃないかと思いました。クリックするところさえわかればいいんですから。」

CSTOYSのホームページ

また、拡張性や決済手段も大きな理由だったと振り返ります。「アプリがいっぱいあって、素人なのに凝った作りができるというのも大きかったです。また、ペイパルも使えましたし、POSも持っていたので、ブースで販売することに使える。オンラインとPOSがつながっているのはとても斬新でした。そして、ポップアップショップというのは、まさに顔の見える販売。その要素をちゃんと持っているというのが大きかったですね」

また、CSTOYSのお店自体も開発などをせずに、テンプレートをカスタマイズして作っています。

「テーマはMobiliaを使っています。それをずっと使わせてもらっている。僕レベルでもできるんだなって思ったんだから他の人も使いやすいでしょう。」

越境ECのマーケティング

海外に商品を販売するためにはどのようなマーケティングが効果的なのでしょう。秘訣について清家さんは教えてくれました。

「今はニュースレターを中心に取り組んでいます。毎週配信し、新商品の告知やレビュー、また動画へのリンクや商品へのリンクを掲載しています。継続して送信することが大事ですね。」

また、最近導入した新しいアプリによって、多くのお客様がメールマガジンを購読していると語ります。「メールアドレスを登録してルーレットを回してクーポンをゲットするアプリ。これを今年始めたんですけど、売上が急激に上がりましたね。1月の最初の週に入れたんですが、3ヶ月でお客さんの登録者数が1000人ほど増えました。みんなディスカウントがほしいのだと思います。」 

「もちろん、先ほども言ったようにYouTubeやTwitterなどのSNSも毎週更新しています。特に商品だけの案内ではなく、『CSTOYS, but not just toys. おもちゃだけど、おもちゃだけじゃない』というテーマで、日本での生活がどのようなものかという生活の一場面を見せています。また、ささやかですが、消しゴムスタンプを妻がが彫ってくれるので、そのスタンプを使ったサンキューカードをすべてのお客様の注文に同封しています。こういった非常に地道なことをコツコツとしているんですが、決してかっこいいことはやろうとは思っていません。地道にやっていくことが大事だと思います。」

消しゴムスタンプ

「でも、こういう活動を続けてきたことで、海外のお客様との距離感は非常に近く感じられるようになりました。特に最近は、海外から本当に私たちを訪ねて遊びに来るお客さんが増えてきました。すでに10人ぐらいの方が来社されていて、YouTubeの生配信に出演してもらっていす。いつもはチャットの中の人が本当に生配信に登場するので、他のチャットのメンバーたちも大いに盛り上がりました。」

CSTOYSを訪ねてくる海外のお客様

 

何をやっても無駄にならない

すでにファンを多く獲得しているCSTOYSですが、冒険はこれで終わりではありません。常に新しいことに挑戦し、ECの最先端を突き進もうとしています。 

「今は毎週月曜日の15時からコミュニティラジオで55分間の生放送番組をやっています。片田舎の限られた地域でしか聴くことができない地域限定のFMラジオですが、実はインターネットラジオでもあるので、CSTOYSのお客様も海外から視聴しています。でも、さすがに1人でやるのは大変なので、米国人スタッフにスカイプで参加してもらって英語と日本語で番組を作っています。また、お客様やリスナーにCSTOYSに置いてあるリクエストフォームから曲を選んでもらって、コメントを紹介するということをやっていますが、おもちゃ屋さんとしてラジオ番組を持っていて、しかもお客さんのリクエストに答えて、その場で音楽をかける。あまりないと思いますよ。無茶苦茶なことをやってると自分でも思うし、お客さんも楽しんでくれていて、それが、僕も楽しいんです。」

さらに、次の目標についても語ってくれました。「ラジオ番組の中で、何か特別な商品を売ってみたいですね。商品の選び方などどういうのがいいのか研究しています。なんとかラジオでのライブコマースに持っていきたいですね。だって売る場所も売るものも決済方法も配送方法も全部すでに持っているんですから。できないことはないと思うんです。」

今日にいたるまでに多くの経験を重ねてきた清家さん。一見するとばらばらの職種、ばらばらの経歴に見えますが、すべてが一つの線でつながっています。

「元農家から海外研修を経て、英語の先生。特撮玩具をオンラインで販売をして、YouTubeとラジオで海外のお客さんと交流。2年に1度は渡米して現地でブース販売し、しかもそこはかつての海外研修先のすぐ近く。他人から見れば、私が関わってきた仕事は一見どれも関係のないバラバラのように見えると思います。実際私自身も本当にこれでいいのかと大いに悩む時もありました。けれど、50代後半になると年齢を重ねないと見えてこないものが本当にあるんだなと思うようになりました。海外農業研修で学んだのは、英語と会社経営の現場でした。ラジオやテレビの番組制作に関わりながら、身を以てわかったのはメディアのあり方とその影響力です。そして、教育現場で学んだのは日本の若者には、実用的な外国語を習得し海外での実務体験する機会がもっと必要だということでした。」

「時代の変化の中で自分がやってきたことがつながっていくのを実感しておもしろいなーって感じています。何をやっても無駄にならないんだと。そして無駄にしちゃダメだ。それぞれの道で出会ったこと、人、機会を栄養にして成長する。それが大事だと考えています。」

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7月に西日本を襲った「平成30年7月豪雨」。清家さんの実家は崖崩れと浸水で甚大な被害を受けました。

「ミカン畑「山ごと消えた」 愛媛・宇和島の豪雨被害」- 7月12日(日本経済新聞)

「ミカン畑 根こそぎ、被害甚大」 - 7月17日  (愛媛新聞)

写真❶豪雨で、流された実家のみかん畑とキウイフルーツ畑
写真❷豪雨で、完全に洪水につかったジャングルジム
写真❸豪雨で土砂が滑り込んだ実家台所
写真❹豪雨で土砂が滑り込んだ実家台所
写真❶:豪雨で、流された実家のみかん畑とキウイフルーツ畑。(宇和島市吉田町) 撮影者:清家正亀
写真❷:豪雨で、完全に洪水につかったジャングルジム。(宇和島市吉田町) 撮影者:清家正亀
写真❸:豪雨で土砂が滑り込んだ実家台所。(宇和島市吉田町) 撮影者:清家正亀
写真❹:豪雨で破壊された実家の片付け中の清家さん(宇和島市吉田町)

清家さんは「農家出身の私としては地元の皆さんの中に農業経営ができなくなる方もでてくるのではと心配しています」と話します。

しかし、実家に戻り、片付け作業をしている中でも清家さんの携帯は音を鳴らして商品が売れたことをお知らせします。

「豪雨災害のあと実家の片付けをしていても、私のスマホは商品が売れるごとにピピンと音を鳴らしてくれます。、その音を聞くたびに、やっぱり自分のしていることは間違いがなかったなと実感します。炎天下でマスクをして汗を流していても、その間にも自分のビジネスが世界を舞台に動いている。これほど、うれしいことはありません。Shopifyが見せてくれる未来に感謝です。」

「今回の豪雨被害は本当に大きな爪痕を地元に残し、今後の復興にどれだけの時間がかかるのか想像もできません。それでもCSTOYSの海外のお客様からは応援の暖かいメッセージが届いています。小さなラジオ局から毎週世界に届けているヒーロー音楽とトークは、世界を巡って、今度は私たちへの応援の声となって帰ってきている。これは本当に大きな励みです。」

「常識が通用しなくなってきているのは今回のような天災だけではなく、経済活動も同じです。今こそ、海外と地方をもっと近づけ、そして地方からも外貨を稼ぐ仕組み作りが必要となってきています。瓦礫の中から立ち上がり、地方からの海外ビジネスを目指す。これからは、そんな人たちと出会っていきたいと思います。」

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このたび、西日本を中心に発生した未曾有の豪雨災害で犠牲となった方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。一日も早い復興をお祈り申し上げます。

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Shopify コンテンツクリエイター 豊田亮太

学生時代からShopifyのローカライゼーションに携わり、現在はコンテンツ担当として多くの人にShopifyの素晴らしさと素敵なストーリーを伝えられるように奮闘中。

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