ハンドメイド作品の販売は、手先が器用な方や小物作りが好きな方にとって、趣味で起業する手段となります。特にアクセサリーやジュエリーは、ブランドを確立し、固定客やファンを得るのにぴったりです。
この記事では、ハンドメイドアクセサリーをビジネスにしたい方や、在宅でお金を稼ぐ方法を探している方に、販売方法からインターネット上でアクセサリーを販売するコツまでわかりやすく解説します。
ハンドメイドアクセサリー販売を始める手順
1. 事業計画を立てる
まずは事業全体に関する計画を立てます。具体的には、以下のような内容を決めます。
- 商品の内容
- デザイン
- 商品名
- 商品コンセプト
- ショップの名前
- 仕入れ先
- 材料
- 販売価格
- ターゲット顧客
- 販売方法
- リーチ方法
- 数年後の事業展望
2. 材料または商品の仕入れを行う
アクセサリーを自身で作成する場合には、商品に使用する材料や素材の仕入れを行います。一方、ハンドメイドアクセサリーを外部から仕入れて販売することを予定している場合は、作家やデザイナーが作成したアクセサリーの買い付けを行います。
3. 作業環境を整える
アクセサリーの制作や写真撮影、ラッピングに作業スペースが必要となります。作業場を確保する際には、以下のポイントを考慮しましょう。
- 作業効率:十分な作業スペースの確保と、工程に沿った効率的な動線設計が重要となります。ハンドメイド作品を自身で制作し、細かいパーツを扱う場合は、小分け可能な収納ボックスなどを用意し、作業に集中できる環境を準備しておきましょう。
- 安全性:アクセサリー制作の過程で特殊器具や化学物質を扱う場合には、安全対策が必要です。例えば、UVレジンを使ったアクセサリーを制作する場合は、換気ができ直射日光に当たらない作業スペースの確保を行う必要があります。
- 在庫の保管:完成品や仕入れた材料を保管しておけるよう、適切なスペースを用意しておく必要があります。品質を長く保つためには、日光の当たらない乾燥した場所で、適切な収納ケースに入れて保管するのがおすすめです。
4. アクセサリーを制作する
アクセサリーを外部から仕入れるのではなく自作する場合は、素材の準備と作業環境が整い次第、制作を開始しましょう。アクセサリーを自作する場合には、以下のような方法が考えられます。
- 既製パーツを利用して制作する:比較的に手軽にアクセサリーを制作できる方法であるため、多くのアクセサリー作家がこの手法を使っています。基本的な工具と知識があれば制作できるため、制作スタッフを雇って規模を拡大しやすい点がメリットです。
- 宝石や貴金属を加工して制作する:宝石や高価な貴金属を加工して、一点もののジュエリーを作成する場合、デザインの自由度が高くなることが魅力です。一方で、原価が高く制作コストがかかることから、利益を出すには高単価で販売する必要があります。高価格でも売れるようにするためには、高度な技術や精巧なデザインが必要となります。
5. 商品写真を準備する
ハンドメイドアクセサリーをインターネット上で販売するには、商品の撮影が必要です。光やアングル、背景を考え、魅力的にジュエリーを撮影できるよう工夫すると良いでしょう。撮影後は、画像編集ソフトなどを用いて商品が魅力的に見えるような加工を写真に行うのもおすすめです。
6. 販売経路を決めて販売を開始する
商品をどのような方法で商品を顧客に届けるのがベストかを考えて、販売を開始しましょう。次のセクションで詳しく紹介していますが、ハンドメイドアクセサリーの具体的な販売経路としては、ハンドメイド販売専用サイト、自社ECサイト、委託販売などがあります。
ハンドメイドアクセサリーを販売する3つの手段

1. ハンドメイド販売に強いサイトやアプリを利用する
ハンドメイドアクセサリー販売を始めるなら、ハンドメイド販売サイトやフリマサイトを活用するのが最も手軽です。ハンドメイド販売に特化したサイトの例としては、minne(ミンネ)やCreema(クリーマ)が挙げられます。海外への販売を検討している場合は、世界各国に展開しているEtsy(エッツィー)を活用するのもいいでしょう。また、メルカリなどのフリマサイトも個人の作品を販売することが可能であるため、ハンドメイドアクセサリーの販売によく活用されています。
こうしたプラットフォームでは通常、多数のユーザーが登録しているため、その集客力を販売に活かせます。購買意欲の高い、ハンドメイドが好きな層にリーチしやすくなるのがメリットですが、その分競合も多くなり、独自の魅力を打ち出したりリピーターを獲得したりするのは難しくなります。
2. ECサイトを開設する
次の選択肢として、自社ネットショップを開設する方法が挙げられます。Shopify(ショッピファイ)やBASE(ベイス)などのネットショップ作成サービスを活用すれば、簡単にECサイトを構築できます。Shopifyを使えば、簡単な操作でネットショップを立ち上げることが可能です。さらに、Shopifyのアプリストアで提供されている多様なアプリを利用すれば、機能を強化できる点も魅力的です。例えば、以下のようなアプリを機能拡張に活用できます。
- Lookfyギャラリー:ルックブック画像:画像や動画のギャラリーをストアに追加できるアプリ。
- Transcy: 言語翻訳と通貨:ネットショップの言語を多言語に翻訳できるアプリ。海外への販売も考えている場合に便利です。
自社ECサイトは、ブランドの世界観を自由に表現できるため、作品の魅力を存分に伝えてリピーターを獲得しやすくなるメリットがあります。また、独自のルールや規約を遵守する必要がある外部販売サイトを利用する場合より、比較的自由に運営できる点も利点です。ただし自社ECサイトでは、すでに顧客が集まっている外部販売サイトと異なり、集客を自ら行う必要があります。
3. 委託販売を行う
ハンドメイド作品は、委託販売という形で他の店舗に代理で取り扱ってもらうことでも販売できます。作品の委託販売先の例としては、近所のカフェやアクセサリーショップ、雑貨屋などの実店舗が挙げられます。作品を置いてもらえないか、ショップに個別に確認し許可をもらいましょう。
委託販売を利用すると、自分で販売する手間が省けるため作品作りに集中できます。また、委託先の実店舗へ訪れた人に、商品の実物を手に取って検討してもらえることもメリットです。ただし、通常は委託手数料を支払う必要があるため、それを織り込んだ価格設定を心がけることが大切です。
ハンドメイドアクセサリー販売を成功させる10のコツ

1. マーケット調査を行う
ハンドメイドアクセサリー事業を成功させるためには、事前に競合分析を行い、顧客のニーズやハンドメイドで売れるものを把握したうえで商品開発を進めることが大切です。競合の状況を知ることで、差別化も図りやすくなります。また、ハンドメイドアクセサリー市場だけでなく、ハンドメイド市場全体や既製品の売れ筋やトレンドも抑えることで、ニーズのある商品開発が実現しやすくなります。
2. ターゲットを設定する
想定する購入者層、すなわちターゲットを明確にしておくことも重要です。例えばピアスという商品ひとつとっても、ターゲットによって、適切な素材やデザイン、アプローチの仕方、販売価格は異なってくるでしょう。どのような人に商品を届けたいかを具体的に考え、趣味や好み、年齢層、性別、職業、住んでいる地域、日常生活のスタイルなど、様々な角度からターゲット層を絞り込むことが重要です。
3. ブランドメッセージを伝える
ブランドメッセージを作ってウェブサイトなどで示していくことは、ビジネスを成功させるうえで大切です。カンパニービジョンやミッションなどの形でメッセージを作り、Aboutページなどに盛り込みましょう。こうすることで、ブランドが考えていることが伝わりやすくなり、想いに共感する人たちが商品を買ってくれるようになります。
4. 商品コンセプトを定める
コンセプトを明確にし、商品のデザインに統一感を持たせると、ファンやリピーターを獲得しやすくなります。特定のモチーフやデザインを用いると、世界観が統一され商品コンセプトが認知されやすくなります。例えば、「クマのモチーフ」「パリジェンヌ風」「日本の伝統柄」のように、あなたのアイデンティを反映した具体的なものがよいでしょう。
商品コンセプトは、ひとつだけでなくいくつかの特徴を掛け合わせて、オリジナリティを高める方法もあります。似たような商品を扱っていても、コンセプトを決めて統一感を出したり魅せ方を変えたりするだけで、売り上げが倍増することもあります。
5. 商品の魅力が伝わる写真を用意する
オンライン上で顧客の興味を惹きつけるためには、写真だけで商品の魅力が十分に伝わるようにする必要があります。スマートフォンやカメラで、明るい自然光が入る環境で撮影しましょう。場合によっては、三脚や照明、背景を用意するとより綺麗に撮影できます。
また、商品をアップで撮影した写真、モデル着用イメージ、日常生活での着用イメージなど多くの画像を用意すると、ユーザーが商品をイメージしやすくなります。
6. ロゴやパッケージを工夫する
ブランドアイデンティティを視覚的に伝えるためには、ロゴやパッケージも重要です。
ロゴは、Hatchful(ハッチフル)などの無料ツールを使っても、簡単に作成できます。予算がある場合は、プロのデザイナーへ依頼するのもよいでしょう。デザイナーに依頼すると、より細かいブランドイメージを表現しやすくなります。
また、おしゃれなパッケージで商品を梱包したり、ユニークな開封体験を演出したりすることも、ブランディングやマーケティングに効果的です。例えば、綺麗なドライフラワーのシールや手書きのメッセージカード、プチギフトを添えると顧客満足度が上がり、SNSでのシェアやレビューへの書き込みも増えやすくなります。
7. SNSマーケティングを行う
Instagram(インスタグラム)やTikTok(ティックトック)など、無料で使えるSNSを活用した宣伝活動(SNSマーケティング)を行うことで、費用をかけることなく多くの人に商品の存在を伝えられます。
各種SNSでハンドメイド商品ブランド専用のアカウントを取得し、そこでブランドの想いや商品の魅力を発信していきましょう。なお、SNSによってユーザー層や好まれる内容が異なります。例えばTikTok(ティックトック)はエンタメ性のある短い動画が好まれ、Instagramでは、洗練されたおしゃれな雰囲気の写真が人気です。ブランドにあったSNSを選択するのが良いでしょう。
8. 複数の販売チャネルを活用する
販売する経路を一つだけでなく複数もつことも、ハンドメイドアクセサリー販売を成功させるうえで重要です。例えば、ECサイトですでに販売を行っている場合は、SNSや実店舗も活用することを考えてみましょう。オンラインとオフラインの両方で顧客と接点を持つことにより、機会損失を減らすことができます。特に、対面での販売は、アクセサリーを手にとった顧客の反応を直に確認できる貴重な機会です。ポップアップや卸売、アートマーケットの販売など様々な機会を利用して、ブランドの露出を高めましょう。
9. 販売データや顧客レビューをもとに改善を行う
販売傾向や顧客のフィードバックをもとに改善を重ねることは、ビジネスを成功させるうえで欠かせません。例えば、売れ筋の商品を増やして、売れない商品の仕入れを減らしたり、顧客からのクレームや要望を次回の商品開発や販売方法に活かしたりするとよいでしょう。クレームも適切に対応すれば、問題点の改善や顧客満足度の向上につなげられます。
10. 顧客と長期的な関係を築くための工夫を行う
メルマガ配信やポイント制度、リピーター割引、クーポン配布などを取り入れ、一度来店した顧客が繰り返し利用してくれるような施策を実行しましょう。リピーター獲得にかかるコストは、新規顧客獲得にかかるコストの5分の1と言われています。顧客との継続的な関係構築に時間や予算を投資することで、売り上げが伸びやすくなります。
まとめ
ハンドメイドアクセサリーの販売は、趣味の延長から気軽に始められる人気のビジネスです。一方で、ハンドメイドアクセサリー市場は競合も多いため、ビジネスとして成功させ事業を拡大するためには、市場調査やマーケティング、ブランディングなどを適切に行い、商品の差別化を図る必要があります。ECサイトやハンドメイド専門販売サイト、委託販売などの販売経路を活用することで、ハンドメイドアクセサリーの販売を始められます。
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ハンドメイドアクセサリー制作に関するよくある質問
ハンドメイド作家に資格は必要?
基本的には、ハンドメイド作品の販売に資格は必要ありません。ただし使用する工具や機械によっては、資格や許可が必要となる場合もあります。
ハンドメイドアクセサリーを制作するのに必要な工具は?
制作しようとしているアクセサリーの種類によって必要な工具は異なります。既製品パーツの組み立てのみであれば、ペンチなどの簡易な工具だけで済みます。一方で精密なジュエリーを制作するには、高価で特殊な機器が必要になります。
ハンドメイドアクセサリー事業の立ち上げにはいくらかかる?
自宅をアトリエとして利用して、安価な素材を使うのであれば、数千円から事業を開始できます。特殊機器や高価な素材を扱う場合には、導入コストや初期費用が高額になることがあります。
アクセサリー作りの定番は?
低価格帯では金属メッキのパーツやプラスチック素材が使用されたもの、高価格帯では18金や10金のパーツ、半貴石(天然石)が使われたものが定番です。
文:Shigemi Saki イラスト:Pete Ryan