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価格戦略:商品の完璧な価格設定のための10の方法

価格設定

商品の適正な価格設定は、「いかにバランスを良く取るか」にかかっています。低価格にすると、利益を出すことなく販売量だけが増えるので、理想的だとは言えません(誰だって生活費を稼がなければならないですから)。同じように、高めの価格設定をすると販売量が落ち、価格に敏感な顧客が離れ、結果としてマーケットシェアを失いかねません。価格設定って本当に難しいですよね。

そのため小規模ビジネスでは、各自で独自の価格設定をする必要があります。小売店は、生産コストや事業コスト、売上目標、競合他社の価格設定など、さまざまな要因を考慮する必要があります。さらに、新商品や既存商品群の価格設定は、数字を計算するだけでは十分とは言えません。実のところ、数字を計算することは、価格設定の過程において最も単純なステップにすぎないのです。

なぜなら数字は合理的なものだからです。それに比べ人間の行動ははるかに複雑なため、データや数字を超えた第二のステップを踏むことが必要になります。

価格設定では、人間の行動がどのくらい私たちの価格感知に影響を及ぼすかということを考慮しなければなりません。

それには、いくつかの価格戦略を試し、顧客への心理的インパクトを検証し、そこから意思決定をすることが必要となるのです。

1. 小売価格:あなたのブランドのために適正な価格戦略を選択する

小売店の多くは、商品原価を倍増し十分な利益幅を設定する “キーストーン価格(下記で説明)” を価格決定の基準としています。しかし、状況によっては、商品のマークアップ(原価に加える利幅)をもう少し高めまたは低めに設定しなければならないことが多々あります。

小売価格を計算する簡単な計算式は以下の通りです:

小売価格 = [(商品コスト) ÷ (100 – マークアップ%)] x 100

例えば、商品コストを15ドルとし、マークアップを通常の50%でなく45%に設定したい時には、小売価格を以下の通りに計算することができます:

小売価格 = [(15) ÷ (100 - 45)] x 100

小売価格 = [(15 ÷ 55)] x 100 = 27ドル

これは比較的シンプルなマークアップの計算式ですが、この価格戦略がすべての小売店の全商品にうまく機能するわけではありません。小売店はそれぞれ特殊なため、ここでは10種類の一般的に使われている価格戦略についてまとめ、価格決定がよりスムーズにできるようにそれぞれのメリットとデメリットを比較してみました。

2. 生産者推奨小売価格:MSRPとは?

MSRP(Manufacturer Suggested Retail Price)はその名の通り、生産者が小売店に推奨する販売価格のことです。複数の場所や小売店で使用されていた異なる商品価格を標準化するために、MSRPは生産者によって使い始められました。

大抵の場合、小売店は標準化された商品(例:消費者向け家電製品や消費財)に対してMSRPを使用します。

  • 利点:MSRPを採用することにより、小売店は価格設定の手間を省くことができます。
  • 欠点:MSRPを採用する同業種の小売店ほとんどが同価格で商品を販売しているため、 彼らは価格競争をすることができません。 

3. キーストーン価格:シンプルなマークアップ計算

キーストーン価格とは、多くの小売店が使う、大まかな計算式を使って設定した価格のことです。基本的には小売店が商品に支払った卸価格を単に二倍にして価格を設定する方法です。キーストーン価格で算出した価格が低すぎたり、高すぎたり、または適正価格であるという筋書きは多数考えることができます。

キーストーン

販売までに時間がかかる商品を扱っている場合や、高額の輸送費や取扱手数料がかかる商品、または独特で稀少な商品を扱っている場合には、キーストーン方式で算出した価格は低すぎることが多いようです。その場合、需要のある商品にはより高めのマークアップを付けて小売価格を引き上げることが適切です。

それとは逆に、日用品やどこでも簡単に手に入る商品を取り扱っている場合には、キーストーン価格を機能させることは難しいかもしれません。

  • 利点: キーストーン価格は、十分な利益幅を確保した手早く簡単で大まかな計算方法です。
  • 欠点: 特定商品の在庫の有無や需要によって、高いマークアップをすることが合理的でない場合があります。

4. 複合価格:抱き合わせ価格の利点と欠点

複合価格はよくスーパーなどで見受けられる価格戦略です。アパレル業界でも、特にソックスや下着、Tシャツなどの商品に採用されることがあります。 複合価格戦略とは、複数の商品をまとめ、一つの価格で販売することです。これは、抱き合わせ販売(バンドリング)として知られる戦略です。

例えば、任天堂の携帯型ゲームであるゲームボーイの発売当初、単体で販売した時よりも、ゲームソフトと抱き合わせて販売した時の方が売上を伸ばしたという調査結果が出ています。

  • 利点: 複合価格を採用することで、小売店はより低いコストでより高い知覚価値を生むことができます。その結果、より高い購買を促すことができます
  • 欠点: 低価格で抱き合わせ販売をすると、商品単体をより高価格で販売することが困難になり、消費者に認知的不協和を与えてしまう可能性があります。

5. ペネトレーションプライスと値引き価格

消費者が、セール、クーポン、キャッシュバック、期間特別価格、その他の値引き価格に対して好意的なのは疑いようのない事実です。だからこそ、どんな事業においても、値引きは最も効果的な価格戦略だと言えます。Software Advice社の調査によると、97%のアンケート回答者が、値引き戦略を使っていると答えています。

値引き価格に頼る利点はいくつかあります。一番顕著なのは、店舗への客足を増やし、売れ残り在庫を減らし、より価格に敏感な消費者を呼び込むことができることなどです 。

  • 利点: 値引き価格は、店舗により多くの客足を引きつけ、シーズン外れの商品や古くなってしまった在庫をさばくためには効果的な戦略です。
  • 欠点: 値引き価格を頻用すると、“バーゲンセールの小売店” というイメージが付いてしまい、消費者が定価で商品を購入することを妨げてしまう恐れがあります。

ペネトレーションプライスは、新規ブランドにとって有効なマーケティング戦略でもあります。一般的には、新商品を紹介する際、市場シェアを獲得するために低めの価格を暫定的に使います。より高い利益を得る代わりに、新規市場に進出する機会を得て顧客意識を高めることを、新規ブランドでは優先することが多いのです。

6. ロスリーダー価格:平均取引金額を増やす方法

皆さんは、人気商品の値引きに誘われてお店に入り、その商品だけを購入するだけでなく、他の商品も同時に買って店を後にしたことを経験したことがあるでしょうか。

それは、ロスリーダー価格による影響を受けたからだと言えるでしょう。これは、小売店が魅力的な値引き商品を使い顧客を引きつけ、顧客に追加の商品を購入することをはたらきかける戦略です。

例えば、ピーナッツバターの価格を値引きし、関連商品のパンやジャム、ハチミツなどの購入を促すことが挙げられます。この場合、スーパーはピーナッツバターだけを販売する代わりに、特別なバンドル価格を提供することで、関連商品を同時購入するようはたらきかけることもあります。

元々のセール商品は損失となるものの、顧客が店内にいる間に購入したその他の関連商品から利益を上げることができるという仕組みです。

  • 利点: ロスリーダー価格は小売店にとって素晴らしい効果を発揮する戦略です。一回の取引で複数商品の購入を促し、客一人当たりの売上金額を伸ばすだけでなく、元々のセール商品から出た損失をカバーすることができるからです。
  • 欠点: 値引き価格を頻用するのと同じように、ロスリーダー価格を使い過ぎると、顧客が常にバーゲンを期待し、定価で商品を買うのを躊躇するようになる恐れがあります。

7. 心理学的価格:端数を使った魅力的な価格設定

ある調査で、「人々はお金を使う時に痛みや損失を感じる」ということがわかりました。そのため、小売店がいかにその痛みを最小限に緩和し、購入に繋げることができるかということが重要になってきます。伝統的に多くのマーチャントは、5、7、9(日本では8)などの端数で終わる価格設定をすることにより、それを達成してきました。価格を9ドルの代わりに8.99ドル(日本では200円の代わりに198円)などに設定することがその例です。

ウィリアム・パウンドストーン(William Poundstone)は著書Pricelessの中で、魅力的な価格(端数を使用した価格)を使った8つの調査について分析しました。その中で、価格設定で端数を使用した時は、“切りの良い” 数字を使った時よりも、平均で24%の売上増加が見受けられたとの結果が記されています。

心理学的価格

それでは、価格戦略ではどのような端数を使うことが有効なのでしょうか。実は、数字の「9」は価格戦略の世界では究極の数字だと言われています。MITとシカゴ大学の研究者たちが、女性用衣服を34ドル、39ドル、44ドルで販売するという調査を実施しました。どの価格が一番高い売上を上げたと思いますか?

その通り、39ドルの商品です。より低価格の34ドルではなかったのです。
  • 利点: 魅力的な価格設定は衝動買いを促進します。端数で終わる価格は買い物客にお得感を与えるので、衝動を阻止するのが難しくなるのです。
  • 欠点: ラグジュアリー商品を扱っている場合、切りの良い数字、例えば1,000ドルという価格を、999.99ドルなどの端数に引き下げることで、ブランドイメージを傷つけてしまう可能性が生じます。なぜならば、商品に欠陥がある、もしくは同じような理由で値引きしたと思わせてしまう恐れがあるからです。 

8. 競争志向型価格設定:競争に打ち勝つ

その名からも推測できる通り、比較価格とは、競合他社の価格データを基準値として使い、それよりも意図的に低い価格設定をすることを示します。

競合他社よりも安い価格設定にすれば、類似商品よりもあなたの商品を買うことを、価格に敏感な顧客に対してはたらきかけることができます。しかし、この “底辺への競争” は、すべてのビジネスや商品にとって常にベストな戦略であるとは言えません。

この戦略の利点と欠点は以下の通りです:

  • 利点: サプライヤーと卸売り単価を交渉することができ、一方でコスト削減をしながら積極的に競争力のある価格で販売促進を実施できるようであれば、この戦略は有効だと言えるでしょう 。
  • 欠点: 小さな小売店では維持するのが難しい戦略と言えます。より低価格とは、より低い利益率を意味するため、競合他社よりも多くの数量を売り上げることが必須となります。また商品によっては、顧客が必ずしも一番安価のものを購入するとは限りません。

9. プレミアム価格:競争力のある価格設定の上を行く

ここでは、価格幅の逆側に立ち、上の立場から価格を見てみます。ブランド企業は競合他社の価格を基準としますが、意図的に自分たちの商品価格をそれよりも高く設定し、より贅沢で、高級で、稀少価値の高いブランドであると位置付けます。例えばスターバックスのプレミアム価格は、人々がダンキンドーナツのような低価格競合他社よりも自分たちを選べば、スターバックスに有利に機能します。


経済学者のリチャード・セイラー(Richard Thaler)氏による調査を例に見てみましょう。ビーチに訪れている冷たいビールを飲みたいと思っている人たちを対象に、近くの落ち目のスーパーか、近くのリゾートホテルで同じビールを購入するという2つの選択肢を与えました。結果として、人々は同じビールに、ホテルではより高い金額を支払ってもいいと答えていることがわかりました。そんなまさかと思うかもしれませんが、それがハイエンドブランドと位置付けたマーケティング力の成す技なのです。

  • 利点: この価格戦略はビジネスや商品に“ハロー効果”と言われる現象をもたらします。競合他社よりも高い価格が付いているため、消費者はその商品をより高品質でプレミアの高いものだと認知するからです。 
  • 欠点: 店舗の物理的な場所やターゲット顧客層により、実際に導入することが難しくもある価格戦略です。他で類似商品を買う選択肢を持つ、価格に敏感な顧客層を抱えているとすれば、この戦略は効果的とは言えません。そのため、自分のターゲット顧客のことを良く理解し、市場調査を行うことが重要になります。

10. アンカー価格:買物客のために基準価格を設定

アンカー価格は、小売店によるもう一つの心理学的価格設定です。小売店に優位にはたらくように、比較手法を用いて行われます。一般的には、定価と値引き価格の両方を並べて記載し、顧客が商品を購入することでどの程度の金額を節約できるかがすぐにわかるようにした手法です。 

このような基準価格を設ける(定価と値引き価格を並べて表示する)ことで、「アンカリング」と呼ばれる認知バイアスを誘発します。マサチューセッツ工科大学のダン・アリエリー博士はある研究の中で、学生たちに自分たちの社会保障番号の下二桁を書くように言い、それと同額を、価値がわからないことにされた商品(ワイン、チョコレート、コンピューターの周辺機器など)に対して支払うかどうかを訊ねました。

次に学生たちにこれらの商品を競り落とすように言ったところ、アリエリー博士は、より大きな二桁の番号を持つ学生たちの方が、小さい番号を持つ学生たちよりも60~120%ほど高い金額を提示したことに気付きました。これは、より高い数字(つまり社会保障番号)が、彼らの頭の中に基準値として “固定(アンカー)” されたことによるものです。同じように、消費者は定価を基準値として頭の中に “固定(アンカー)” し、並んで表示された値引き価格に対する判断をするのです。

アンカー価格

この原理を活かすことができるもう一つの方法は、低価格の商品を意図的に高額商品の隣に陳列し、顧客の注目を引きつけることです。

業種を超えた多くのブランドは、このようなアンカー価格戦略を中間価格層の商品に用い、顧客の購買行動を促しています。

アンカー価格戦略の利点と欠点をまとめたものは以下の通りです:

  • 利点: セール価格よりもはるかに高い定価を記載した場合、そのお買い得感から、顧客の購買行動を誘発することができます。
  • 欠点: アンカー価格が現実的でない場合には、ブランドの信用を失ってしまう可能性があります。顧客はオンラインで競合他社の商品価格を簡単に確認することができるので、常に合理的な価格を記載するようにしてください。

商品の卸売価格の設定方法

希望小売価格(SRP: Suggested retail price)がわかっていれば、商品の卸売価格戦略へと進むことができます。 これは、企業間取引(B2B)による売上を目指すリテールブランドが取るべき手続きです。

小売店が商品を割引価格で他企業に販売し、他企業が彼らの顧客へと最終的に商品を販売することで、ブランドの浸透率を高め、商品を新しい顧客へと紹介することができるとても有効な方法です。

卸売価格戦略を設定するには、まず以下のステップから始めます:

  • 製造原価 (COGM)を計算する:これは商品製造もしくは仕入れにかかる費用のことです。材料費、人件費、また商品を在庫として販売できるように準備するまでの発送や手続き費用などの追加コストが含まれます。

商品のCOGMは以下の計算式で算出することができます:

材料費合計 + 人件費合計 + 追加費用 & 間接費 = 製造原価(COGM)

  • 利益率を保護する: 卸売価格を設定する際、利益率を50%もしくはそれ以上に見積もることを念頭に置いてください。

小売業の利益率は以下の計算式で算出することができます:

小売価格 – 費用 / 小売価格 = 小売利益率 %

  • 消費者への直販価格と企業間取引の価格を設定する: これは、 ウェブサイトなどに掲載されている、消費者が目にする商品の外部向け小売価格と、それとは別に設定された卸売業者向けの価格表に記した卸売価格のことを示します。卸売り取引では、一回の取引量が通常よりも大きいために、より低価格で商品を提供することが可能になります。

適した価格戦略で前進する

価格戦略では、これこそがという一つの明確なアプローチがあるわけではありません。またすべての価格戦略が、すべての小売事業に機能するわけでもありません。それぞれのブランドが独自の価格を設定し、自分たちの商品やターゲット顧客にとってベストな効果をもたらす方法を見出す必要があるのです。

ここでは、小売事業で一般的に用いられている価格戦略の理解を深めていただけたと思います。これからは、より確かな情報に基づく価格決定をしていくことができるのではないでしょうか。

原文:Lindsey Peacock 翻訳:クリンカース恵子

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