Facebook広告のやり方：始め方や運用方法（2025年）

Facebook広告を活用すれば、多くのユーザーに商品やサービスを紹介し、ブランドの認知を高められます。多くの事業者が利用しているWeb広告ですが、仕組みや設定方法が複雑なため、基本をしっかりと理解しておくことが重要です。

本記事では、Facebook広告の始め方や効果的な運用方法などをわかりやすく解説します。これからFacebook広告出稿を始める方は、ぜひ参考にしてください。

Facebook広告とは

Facebook広告とは、Meta（メタ）社が提供するFacebookやInstagram（インスタグラム）のニュースフィードやストーリーズなどで表示されるオンライン広告です。SNS上のタイムラインに表示されるため、自然な形で広告を配信できるのが特徴です。

Facebook広告は表示できる箇所が多いことに加えて、さまざまな広告フォーマットが用意されているため、多くの企業がマーケティングに活用しています。

主な広告フォーマットは、以下のとおりです。

• 画像広告：1枚の画像とテキスト
• 動画広告：1つの動画とテキスト
• カルーセル広告：最大10枚の画像や動画をスライドのように表示
• コレクション広告：閲覧者の興味・関心に合わせてカタログからアイテムを表示
• インスタントエクスペリエンス：タップするとサイト遷移せずに拡大表示される広告

Facebook広告の特徴

• 幅広いユーザーに広告を届けられる
• ターゲティング精度が高い
• 低予算で始められる
• 効果測定がしやすい

幅広いユーザーに広告を届けられる

Facebook広告は、全世界で約30億人、日本国内でも約2,600万人が利用しているFacebookに配信されるため、多くのユーザー層へリーチできます。また、Meta社が運営するMessenger（メッセンジャー）やWhatsApp（ワッツアップ）、Instagramなどの複数のプラットフォームにも同時配信できるため、幅広い層に向けてSNSマーケティングを展開できるのも特徴です。たとえば、もうひとつの主要な広告配信先であるInstagramも、全世界で約15億人、日本国内で約6,600万人が利用しています。

ターゲティング精度が高い

Facebook広告は、ユーザーの所在地、年齢、性別、職業、興味関心などの詳細な情報をもとに配信できるため、購買意欲の高いユーザー層に絞り込んで無駄のない広告運用ができます。また、自社の顧客データをもとに、近い性質を持つユーザーへ配信できる類似オーディエンス機能もあります。

低予算から始められる

Facebook広告の費用は、クリック数や表示回数に応じて発生します。1日あたり100円から予算を設定できるため、少額でテストを繰り返しながら成果の高い広告を見極めることで、限られた予算でも大きな効果を得られます。また、目的別に上限金額を調整できるため、費用対効果を保ちながら柔軟に運用を続けられます。

効果測定がしやすい

Meta広告マネージャを使えば、Facebook広告の表示回数、クリック数、コンバージョン率（CVR）などを確認できます。さらに、Metaピクセルを使えば、Facebook広告を経由したアクセスについてサイト訪問後の行動も分析できます。

Facebook広告のやり方8ステップ

1. Facebookアカウントを開設してFacebookページを作成する
2. ビジネスポートフォリオを作成する
3. 広告アカウントを作成する
4. キャンペーンを作成する
5. 広告セットを設定する
6. 広告を設定する
7. 支払い方法を設定する
8. Metaピクセルを設定する

1. Facebookアカウントを開設してページを作成する

Facebook広告を利用するために、まず個人のFacebookアカウントを作成します。Facebook公式サイトで「新しいアカウントを作成」を選択し、名前、生年月日、性別、携帯電話番号、メールアドレス、パスワードを入力して、「アカウント登録」をクリックすれば、アカウント開設は完了です。

次に、広告配信に使用するFacebookページを作成します。開設した個人アカウントへログインし、メニューから「新しいプロフィールまたはページを作成」をクリックします。「公開ページ」を選択し、ページ名、カテゴリ、自己紹介を記入して、ページ作成は完了です。作成したページで、プロフィール画像やカバー写真も設定できます。

2. ビジネスポートフォリオを作成する

作成したFacebookアカウントで、Meta Business Suite（メタビジネススイート）へアクセスします。ログインページで「Facebookでログイン」を選択し、先ほど作成したアカウントでログインします。

Meta Business Suite上で「ビジネスポートフォリオを作成」をクリックし、ビジネスポートフォリオ名、連絡先氏名、メールアドレスを入力したら「作成」をクリックして完了です。

ビジネスポートフォリオには、Facebook広告運用に使用するFacebookページ、Instagramアカウント、広告アカウント、商品カタログをまとめられます。

3. 広告アカウントを作成する

ビジネスポートフォリオへ広告アカウントを追加します。広告アカウント画面で「追加」をクリックし、詳細入力メニューで、広告アカウント名、時間帯、通貨を選択します。

次に、用途メニューで、この広告アカウントで宣伝するビジネスについて、「自分のビジネス」・「別のビジネスまたはクライアント」から選択します。

確認画面で「広告アカウントを作成」をクリックすると、広告アカウントがビジネスポートフォリオへ追加されます。

4. キャンペーンを作成する

Facebook広告では、広告出稿ごとに目的を設定する必要があります。Meta Business Suiteのメニューから広告マネージャを開き、「キャンペーン」画面で「作成」をクリックします。その後、広告を通じて達成したい目標を、以下6つの中から選びましょう。

• 認知：ブランドや商品の認知度を高める。
• トラフィック：広告からウェブサイト、LP（ランディングページ）、またはアプリへ誘導する。
• エンゲージメント：動画の再生数やページへの「いいね！」などを増やす。
• リード：問い合わせや資料請求フォームなどを通じて、見込み顧客を獲得する。
• アプリの宣伝：アプリのインストール数を向上させる。
• 売上：商品やサービスを購入する可能性が高いユーザーに配信し、コンバージョンを獲得する。

加えて、キャンペーン作成時には以下の項目を設定可能です。

• Advantage+キャンペーン予算：Facebookダイナミック広告とも呼ばれ、成果の出やすい広告へ優先的に、自動で予算を割り当てる機能。
• A/Bテスト：広告クリエイティブやターゲット条件、配置などを比較し、どの設定が最も効果的かを検証できる。
• 特別な広告カテゴリ：雇用、住宅、金融、選挙などの広告を扱う場合に選択。広告に制限がある。

5. 広告セットを作成する

キャンペーンを作成したら、次は配信の条件を決めるため、広告セットを設定します。広告セットには、以下のような設定項目があります。

• 広告セット名：広告内容やターゲットを識別できるわかりやすい名称をつけます。
• パフォーマンスの目標：広告リーチを最大化、2秒以上の動画再生数を最大化など、目的に沿った成果指標を選びます。
• Facebookページ：広告で宣伝したいFacebookのページを選択します。
• 結果の単価目標：1件あたりの成果にかかる目標単価を設定して、CAC（顧客獲得コスト）やCPC（クリック単価）を管理できます。設定は目安であり、その金額で固定されるわけではありません。
• バリュールール：オーディエンスや広告の位置、コンバージョンが発生する場所などの条件に応じて広告の価値を設定できます。たとえば、男性顧客の顧客生涯価値（CLV）が女性より高い場合、男性のオーディエンスに向けた広告配信へより多くの予算を割り当てるよう調整できます。
• ダイナミッククリエイティブ：画像やテキストの組み合わせを広告配信アルゴリズムが自動的に最適化し、ユーザーごとに最も効果的な広告を生成します。
• 予算と掲載期間：日別または全期間の上限予算と、広告配信の期間を設定します。また、特定の日時に合わせて予算を増加させることもできます。
• オーディエンス制御：地域、年齢、性別、言語、興味・関心などの条件を設定し、広告を配信するターゲットを決定します。Advantage+オーディエンス機能をオンにすると、自動で最適化されます。
• 配置：広告を表示する場所を選択します。Facebook、Instagram、Threads（スレッズ）など、複数のプラットフォーム上の広告表示位置をまとめて管理できます。Advantage+配置機能をオンにすると、自動で最適化されます。

6. 広告を設定する

次は実際に表示される広告コンテンツを作成します。以下の様な設定項目があります。

• 広告名：識別しやすい名前をつけます。
• パートナーシップ広告：パートナー（クリエイター、ブランド、他ビジネスなど）と連携して配信できます。
• 名義：広告上に表示されるFacebookページ名やInstagramアカウント名を指定します。
• 広告設定：画像、動画、カルーセル、コレクションなどのフォーマットやレイアウトを選択します。
• リンク先：広告をクリックまたはタップした際の遷移先を、ウェブサイトやアプリなどから指定します。
• クリエイティブ：広告で使用する画像、動画、見出し、説明文、CTAボタンを設定します。
• クリエイティブテスト：最大5種類まで異なるクリエイティブを同時に配信し、効果を比較できます。
• イベントの詳細：広告で宣伝したいセールイベントがあれば、その名前や開催日時、リマインダー送信のタイミングを設定できます。
• 言語設定：自分で作成した翻訳や自動翻訳をオンにして、多言語配信を行えます。
• トラッキング：ECサイトでの注文やアプリのインストールなど、トラッキングするコンバージョンを設定します。ウェブサイト上でのコンバージョンをトラッキングするには、Metaピクセルを設定する必要があります。

7. 支払い方法を設定する

広告費の支払い方法を設定します。デビットカード、クレジットカード、PayPal、PayPayのいずれかを選択できます。また、Metaが発行する広告クレジットを保有している場合は、それを使用することも可能です。

支払い方法の設定が完了すると、Facebook側で広告の審査が行われます。広告内容がポリシーに違反していないことが確認されると、広告の配信が開始されます。

8. Metaピクセルを設定する

Metaピクセルは、ウェブページの閲覧や購入といったウェブサイト上におけるユーザーの行動を追跡するためのコードです。広告にリンクされたランディングページや商品ページに専用のコードを設置することで、Metaピクセルが機能するようになります。

Metaピクセルのコードは、ビジネス用アカウントのホーム画面から設定できます。「Metaイベントマネージャ」から「データソースをリンク」をクリックして「ウェブ」を選択し、「接続」をクリックします。指示に従って必要な情報を入力・設定することで作成できます。

Facebook広告を成功させるコツ

• 目標を設定する
• 十分な予算を割り当てる
• 商品の魅力を視覚的に伝える
• 広告の成果を定期的に確認して改善する

目標を設定する

クリック数や平均注文額などのKPI（重要業績評価指標）を設定することで、オーディエンス設定やクリエイティブの方向性が明確になり、成果につながる広告を設計しやすくなります。たとえば、新規顧客の獲得を目的にするのか、既存顧客の再購入促進を狙うのかによって、選ぶターゲットや訴求内容は大きく異なります。

目標を明確にすることで、広告クリエイティブの設定やターゲティングの精度を高めやすくなるだけでなく、効果測定がしやすくなるメリットもあります。

十分な予算を割り当てる

十分な予算を割り当てることで、Facebook広告は配信データをもとに学習できるようになり、成果を最大化するための最適化がうまく機能します。予算が少なすぎると学習データが不足し、広告パフォーマンスが安定しにくくなります。

ターゲットを狭めすぎず、学習に必要なデータ量を確保できるように幅広いユーザーへ広告を配信しましょう。配信範囲が適切かどうかは、オーディエンス設定画面で確認できる「オーディエンスの広さ」を参考に判断します。

商品の魅力を視覚的に伝える

画像や動画などを広告クリエイティブに使用することで、短時間で効果的に商品の魅力を伝えられます。実際に商品を使用している様子を映した画像や動画を選ぶと、利用シーンをイメージしてもらいやすくなります。また、複数の画像や動画をスワイプ操作で順に表示できるカルーセル広告を活用すれば、ストーリー性をもたせた訴求も可能です。

広告に使用する画像や動画は、Facebook公式の推奨サイズ・比率に合わせましょう。たとえば、Facebookのフィード広告で配信する画像は、アスペクト比が1：1の場合、解像度は1,440×1,440pxが推奨されています。

なお、Facebook広告ライブラリを活用すれば、他社の広告事例を閲覧し、効果的なデザインや訴求方法を参考にできます。キーワードや広告主名で検索でき、配信中のバナー広告、動画、リンク先なども確認可能です。自社の広告クリエイティブを改善するヒントとして活用しましょう。

広告の成果を定期的に確認して改善する

Facebook広告の成果はデータとして数値化されるため、そのデータを分析し、改善を繰り返すことが成功のカギとなります。クリック数、コンバージョン率、CTR（クリック率）などの指標を定期的に確認し、画像、説明文、リンク先ページの内容を最適化しましょう。たとえば、コンバージョン率が低い場合は、広告で表示されるCTAやランディングページの構成を再検討する必要があります。

Meta Business Suiteの「すべてのツール」から「分析とレポート」>「広告レポート」>「レポート」に進むと、ユーザーやプラットフォーム別の成果をすぐに確認できます。

Facebook広告を始める際の注意点

• 広告ポリシーを遵守する
• ターゲットを適切に設定する
• テキストを詰め込みすぎない

広告ポリシーを遵守する

Facebook広告は、公開前に審査が行われます。以下のような広告はポリシー違反とみなされ、広告が配信できず、悪質な場合はアカウントが停止されることもあります。

• 違法、不正な商品やサービス
• 差別的、暴力的、性的な表現を含む内容
• 誤解を招く情報や事実と異なる情報の掲載

また、金融サービスやギャンブルなどの広告は、制限が設けられていたり、認証が必要になったりすることがあります。たとえば、アルコール関連の広告は日本国内では20歳以上のユーザーにのみ配信可能です。

さらに、広告に使用する画像や動画のファイル形式やサイズ、解像度などについても以下のような規定があります。

• テキストの推奨長さは、メインテキスト125文字、見出し40文字、説明25文字
• 画像はJPGまたはPNG形式で、アスペクト比は1.91：1～4：5、解像度はアスペクト比が1：1の場合は1,440×1,440ピクセル、4：5の場合は1,440×1,800ピクセル、サイズは30MB以下
• 動画はMP4、MOV、GIF形式のいずれかで、ファイルサイズは4GB以下、動画の幅は600ピクセル以上

広告の審査結果は、通常24時間以内に結果が通知されます。却下された場合は、理由を確認し、広告の修正や再作成を行って再度申請しましょう。Facebook側が誤って却下したと考えられる場合は、再審査をリクエストできます。

ターゲットを適切に設定する

ターゲティングが不十分だと、広告が不特定多数に配信され、費用対効果が低下します。広告を届けたいユーザーの年齢、地域、性別、興味・関心などをできるだけ細かく設定しましょう。たとえば、キャンプ用品を販売する場合、20〜30代のキャンプ初心者をターゲットに設定し、「設営が簡単」「デザイン性が高い」など、ターゲット層に合わせた訴求内容にすると効果的です。

さらに、カスタムオーディエンスや類似オーディエンスを活用すれば、既存顧客と近い特徴を持つ新規ユーザーにもリーチできます。自社の顧客データやウェブサイト訪問履歴をもとに、精度の高いターゲティングを行いましょう。

テキストを詰め込みすぎない

広告クリエイティブにテキストを詰め込みすぎると、視認性が下がり、クリック率やエンゲージメントが低下する可能性があります。Facebookは、広告効果を高めるためのベストプラクティスとして、以下の2つのポイントを推奨しています。

• メインテキストは1〜3行に収める
• 広告を見た人に、次に取ってほしい行動を明確に伝える

特にスマートフォンで閲覧するユーザーが多いため、短いコピーと読みやすいフォントサイズを意識しましょう。画像内に重要な情報を盛り込みすぎず、キャッチコピーや価格などはシンプルに配置するのが理想です。

また、人の視線は左上から右下へ流れるといわれており、Z型レイアウトを意識すると効果的です。画像全体のバランスを整え、短いテキストでもメッセージが伝わるデザインを心がけましょう。

Facebook広告を成功させる戦略

• パフォーマンスの良いコンテンツを再利用する
• インフルエンサーと連携する
• マーケティングファネルを意識して広告を設計する

パフォーマンスの良いコンテンツを再利用する

他のSNSや自社投稿で反応が良かったコンテンツは、Facebook広告に再利用することで高い効果を発揮します。たとえば、Instagramで多くの「いいね」やコメントを獲得した投稿を、そのまま広告クリエイティブとして活用できます。

動画コンテンツは、そのまま使い回すだけでなく、スライドショー形式のカルーセル広告に再構成するのもおすすめです。たとえば、TikTok（ティックトック）で人気が出た動画を場面ごとにスクリーンショットにして、それらを並べてFacebook広告のクリエイティブとして再利用できます。

インフルエンサーと連携する

インフルエンサーマーケティングは新しいターゲット層にリーチする効率的な手段です。インフルエンサーが実際に商品を使って使用感や魅力を発信することで、フォロワーの購買意欲を刺激できます。特に、競合が少ないニッチな分野で人気のあるマイクロインフルエンサーの協力を得られると、広告の成果はより高めやすくなります。

なお、インフルエンサーを活用した広告を配信する際は、タイアップ投稿ラベルなどを使用して、パートナーとして共に広告を作成したことを明らかにする必要があります。

マーケティングファネルを意識して広告を設計する

Facebook広告では、ユーザーが購買に至るまでの段階（認知 → 興味 → 比較 → 購入）を踏まえたマーケティングファネルを意識することで、より高い成果を期待できます。

まずは、類似オーディエンスなどを活用し、広範囲のユーザーにアプローチします。次に、広告をきっかけにウェブサイトを訪れたユーザーを対象に、興味や関心を深める内容の広告を配信します。さらに、問い合わせやカート追加などのアクションを起こしたユーザーへと絞り込み、購入を後押しする広告を配信していきます。

ユーザーの購買意欲や商品理解に合わせて広告内容を変化させることで、段階的にコンバージョンへと導くことができます。

まとめ

Facebook広告を活用すれば、InstagramなどMetaが提供する複数のプラットフォームで幅広いユーザーに広告を効果的に届けられます。

運用を成功させるには、明確な目的設定、正確なターゲティング、魅力的なクリエイティブ設計が必要です。これらを意識することで、少額の予算でも高い費用対効果を実現できます。また、Meta広告マネージャやMetaピクセルなどの公式ツールを活用すれば、広告成果を可視化し、継続的な改善が可能です。

基本を押さえて丁寧に運用を重ねれば、Facebook広告はビジネスの成長を長期的に支える強力なマーケティング手段となるでしょう。

文：Hisato Zukeran イラストレーション：Eugenia Mello