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D2Cを成功させるポイントとは? 最新の11の事例から極意を学ぶ!

「こんな商品があったらいいな」というアイデアからブランドを立ち上げて販売する起業家が増えています。自ら企画・製造・販売までを一貫して行うこのようなビジネスモデルはD2C (Direct to Consumer)と呼ばれ、小規模事業者からも大手メーカーからも注目されています。

しかし、いざD2Cに挑戦しようとしても、身近な事例がないとD2Cのメリットやビジネス戦略がわかりにくいかもしれません。今回は、いま日本で注目されているD2Cブランドを紹介し、ブランド立ち上げの経緯やビジネスを成功させるポイントについて探ります。

日本におけるEC市場

D2Cが注目される背景には、インターネットの普及に伴ってEC市場が拡大していることがあります。日本ではECの売上が過去8年の間に2倍以上に伸びています。

(出典:経済産業省

また、物販分野におけるEC市場において、スマートフォン経由でのEC市場規模が2018年には全体の4割近くを占めるほどの規模になっています。

(出典:経済産業省

EC市場の拡大とともにスマートフォンを介した販売の重要性が高まるなか、衣類や食品・飲料、化粧品などの幅広い分野でEC化が進んでいます。Amazonや楽天などのECモールで商品を販売する事業者がいる一方で、自らネットショップを立ち上げてD2Cに挑戦する事業者も増えています。

D2Cとは何か

D2Cとは、メーカーやブランドが自ら企画・製造した商品を、従来のように問屋や小売業者を介さずに、自社のECサイトを使って直接(Direct)消費者(Consumer)に販売する仕組みです。

実は、中間業者を介さない販売スタイル自体が新しい概念かと言うと、そうではありません。歴史を遡ると、問屋や小売業者が発達するまでは自分で作ったものを自分で売るといういわゆる「直販」が主流でした。

では、従来の直販とD2Cの違いは何でしょうか。それは、消費者に直接販売するというスタイルに、「テクノロジー」という強力な要素が加わっている点です。

インターネットの普及により、世界中の情報を瞬時に検索できるようになったこと。スマートフォンの出現により、いつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになったこと。さらには、SNSの普及によって画像や動画をベースとしたコミュニケーションが可能になったこと。

このようなテクノロジーの発達により、直販はこれまでにない強力なビジネスモデルとして生まれ変わったのです。

D2Cのメリットとは

中間業者を介さないビジネスモデルのメリットとして、余計な仲介手数料が発生しないことが真っ先に浮かぶかもしれません。しかし、D2Cには利益率の高さ以外にもさまざまなメリットがあります。

メリット1:売り手のビジョンや思想を顧客に伝えられる

「こんな商品があったらいいな」というアイデアから生まれたブランドには、確固としたビジョンや思想があります。創業者の想いを消費者に直接伝えることができるのは、D2Cならではの強みです。

メリット2:一人ひとりの顧客の声を聞ける

商品の企画から販売までを自社で完結するD2Cでは売り手と顧客との距離が近く、一人ひとりの本音を直に聞くチャンスがたくさんあります。ビジョンや思想を一方的に伝えるだけではなく、顧客側のフィードバックが得やすいのもD2Cの特長です。

メリット3:顧客データをもとに良い商品を開発できる

ECモールに出店(出品)する場合、顧客の情報はモール側の所有物となるため自社で管理することができません。一方、D2Cでは顧客の属性や購入履歴、EC内での動きなどの詳細な情報を入手し、ペルソナを意識した商品の開発や改善につなげることができます。

メリット4:ブランドロイヤルティを向上できる

顧客とのコミュニケーションを図りやすいD2Cには、ブランドに対するコアなファンを獲得しやすいという長所があります。こうしたファン層はリピーターとなって売上に貢献するだけでなく、オンライン上の口コミによって新たなファンを爆発的に増やす可能性を秘めています。

それでは、いま日本で注目されているD2Cブランドを実際に見ていきましょう。

事例1:COHINA <小柄な女性のためのアパレルブランド>

COHINAの創設者の一人、田中絢子さん(148cm)もモデルとなって商品を綺麗に着こなす。

COHINA(コヒナ)を立ち上げたのは、アパレル業界未経験の清水葵さんと田中絢子さん。起業のきっかけは、低身長であるために服選びに苦戦していた2人が「小柄な女性にぴったりサイズの洋服を届けたい」と思ったからだと言います。

デザイナーにも工場にもツテはないなか、やっとの思いで完成した商品第一号を販売したのは2017年11月のこと。当時わずか400人だったCOHINAのインスタグラムのフォロワー数は、今や14.8万人(2020年8月現在)に達しています。

ニッチな商品を扱う小さなブランドは、いったいどのようにファンを増やしていったのでしょうか。その秘密は、清水さんと田中さんが創業当初から毎日行なっているインスタグラムのライブ配信です。

COHINAのインスタライブは、単にブランド側がユーザーに一方的なメッセージを伝える場ではありません。ユーザー側も自由に意見を出し、さらにはユーザー同士がつながって情報を共有したり日々の喜びを分かち合ったりする場です。

「知識や経験がないからこそ、お客様の生の声を拾って良い商品へとつなげたい」「アパレルを通じて、小柄な女性たちが自分を肯定できる場をつくりたい」という清水さんと田中さん。その真摯な取り組みはD2Cの成功に直結していると言えるでしょう。

事例2:RiLi <おしゃれ女子たちが作るファッションサイト>

 「RiLi Store」では一貫したブランドを作り出している。

10〜20代のおしゃれ女子からの熱狂的な支持を得るブランドRiLi。ユーザー参加型のオウンドメディアRiLi Tokyoで共感されるコンテンツを発信し、そのコンテンツに合う製品をRiLi Storeで販売するというのが、ビジネスのスタイルです。

「自社ECサイトへの集客をするためにコンテンツを作る」という流れは、今やネットショップでは当たり前になりつつあります。しかし、RiLiの場合は、あくまでもメディアがメイン事業で、ショップは後から派生したものだと、代表取締役の渡辺麻翔さんは語ります。

「メディアを運営していると、ユーザーさんと自然とコミュニケーションが発生し、インスタグラムで流行っているものや、探しているけど売っていないものという需要が見えてくるようになったんですよね。そこで、発信していたコンテンツを記事から、商品という形で変換してみたらすごく喜ばれたんです。当時、インスタグラムでパジャマパーティーの写真を撮るのが流行っていたので、かわいいパジャマを探してきて売ったら、その日のうちに完売。これを拡大したらユーザーさんに喜んでもらえるコンテンツになりそうという発想からショップがはじまりました。なので、最初からショップをやろうと思っていたわけではないんですよね」(渡辺さん)
「#RiLiっぽ」が爆発的人気を呼ぶRiLi STORE 誕生のきっかけは「ユーザーの声」|Shopify

商品を売るためにコンテンツを作るのではなく、コンテンツを通したユーザーとのコミュニケーションをヒントにニーズの高いものを売るRiLi。ファッションメディアとしての成功があるからこそ実現したビジネスモデルです。

事例3:17kg <インスタ発の韓国系レディースファッション>  

17kgを立ち上げた塚原健司さんは、S N Sを使って世の中のトレンドを徹底的に研究している。

10代の女子から絶大な人気を誇るプチプライスの韓国系ファッションブランド、17kg(イチナナキログラム)。インスタグラムのフォロワー数は57.4万人(2020年8月現在)と、ファッションブランドアカウントとしては驚異的な数字を誇っています。

D2Cブランドによくあるのは、創設者自身の経験がブランド立ち上げのきっかけになるというケースですが、創設者の塚原健司さんは男性。最初からアパレルを軸に起業しようとしていたわけではなく、17kg立ち上げの前はIT系サービスの起業で成功しています。

そんな塚原さんが、なぜ17kgで成功しているのでしょうか。それは、塚原さんがインスタグラムを使ったビジネスモデルの持つ可能性に早くから注目して研究を重ねてきたからだと考えられます。

インスタグラムなど、販促ができる新しいプラットフォームができたことによって、そこを起点に物を売ったり、プロモーションをしたりできるというところが、D2Cのメリットだと思います。多額なマーケティングの費用をかけずにお客さんを獲得していくことができるようになったという点ですね」
インスタ発の大人気ブランド「17kg」 世界を目指す若き起業家の挑戦|Shopify

身の回りで伸びているサービスやアカウント、コンテンツなどを徹底的に研究し、そこから見えてくる「10代の女子が好きなもの」を届ける17kg。データを駆使して科学的根拠に基づいたマーケティングを行なって成長し続けています。

事例4:SOÉJU <大人の女性向けパーソナルスタイリングサービス>

SOÉJUでは、プロのスタイリストがユーザーのファッション志向を尊重しながらスタイリングのお手伝いをする。

2018年にSOÉJU(ソージュ)を立ち上げた市原明日香さん。オンライン上でのパーソナルスタイリングサービス、代官山にオープンしたサロンでの対面カウンセリング、そしてECサイトでの服の販売という3つの柱で、ファッションを手軽に楽しみたい大人の女性のニーズに応えています。

起業のきっかけとなったのは、市原さん自身の経験だと言います。仕事着にファッションセンスが求められるルイヴィトンで働いていた市原さんは、パーソナルスタイリストに頼んでスタイリングのアドバイスを受けたところ、ある課題が見えてきました。

「自分のワードローブをスタイリストさんに見てもらう必要があるので、その前にハンガーを揃えたり、部屋を片付けて恥ずかしくない状態に整えるのが大変(笑)。もう少し、友人のように気軽に相談できるサービスがあったら利用しやすくなるのにと思いました」(市原さん)
洋服選びに悩む女性をお助け 注目のD2CブランドのSOÉJUの取り組み|Shopify

オンラインでのカウンセリングサービスが軌道に乗ると、市原さんはオンラインストアでの服の販売、対面式のサロンを立て続けにスタートします。すると、ECサイトで購入した後にスタイリングサービスを利用する、サービスを受けてからECサイトで服を購入するという2つの流れが活性化しました。

パーソナルスタイリングサービスを入り口として服の販売へとビジネスを拡張したSOÉJU。オンラインとサロンの両方からユーザーの声を拾い上げながら商品に反映してビジネスを成功させています。

事例5:BASE FOOD <完全栄養食の宅配サービス> 

BASE FOODの商品はBASE BREADとBASE NOODLEの2つとシンプルな展開。

食べるだけで必要な栄養を摂取できる商品を展開するBASEFOOD(ベースフード)。創業者の橋本舜さんは、完全栄養食というジャンルのなかでも「主食」という切り口で商品を生み出し、業界に旋風を巻き起こしました。

橋本さんがBASEFOODを立ち上げるきっかけとなったのは、IT企業勤務時代の多忙な生活だと言います。仕事と健康の両立に課題を感じた橋本さんは、誰もが毎日食べる主食だけで必要な栄養を補うことができれば、健康はもっと簡単に維持できると考えるようになりました。

試行錯誤の末に完成したBASE PASTA(後のBASE NOODLE)を販売開始すると瞬く間に人気商品となり、3年後には海外進出も実現。立ち上がったばかりのD2Cブランドが急速に広まった理由について、CMOの齋藤竜太さんは以下のように分析しています。

「大企業のように大きな広告費を持たない私たちのようなスタートアップにとっての資産は『明確なミッション』と『それに共感してくれる人の熱量』だと思っています。ベースフードはクラウドファンディングを始めた当初から『主食をイノベーションし健康をあたりまえに』という明確なミッションを決めていて、企業のバリューにも『使命を伝える』ことをいれています。BASE PASTAがここまで広まってきたのは、自分たちがなぜこれをやっているのかをきちんと伝えることで、共感してくれたメディアの方々、一流のシェフやアスリートの方々、SNSなどで広めてくれるお客様たちから、想定以上の機会をもらってきたことが大きいです」(齋藤さん)
完全食×麺 世界を変えるベースフード(BASE FOOD)にインタビュー|Shopify

ユーザーは「一緒に革命を起こす仲間」と考えるBASEFOOD。定期購入者へのインタビューをニュースレターで掲載したり、ツイッターを活用したイベントで一体感を育んだりなど、ブランドロイヤリティを向上させながらD2Cを成功させています。

事例6:土屋鞄製造所 <EC事業に参入した老舗ブランド>

2015年に発売された「OTONA RANDSEL」は、ランドセル製造で培った技術から誕生した。

1965年にランドセル作りから始まった老舗ブランドの土屋鞄製造所。昨今では、背負う仕事鞄「OTONA RANDSEL」、働く女性をより美しく見せる鞄「HINON」などの大人向けの革製品の展開でも注目を集めています。

大人向けの革製品事業に乗り出した2000年代、土屋鞄製造所はECによる販売を開始しています。当初は外部の開発会社にほとんどの業務を委託していましたが、次第に社内の体制に限界が見えてきたと言います。

「ECサイトの大規模改善はどうしても1年に1〜2回しかできません。WEBマーケティングの必要性も増していくなか、次々と生まれてくるツールを導入しようにも、実装や検証に至るまでに年単位で時間がかかったり、一部しか使いこなせず思ったような活動ができなかったりという悩みもありました。お客様により良いブランドの価値を提供するためには、スピーディーな対応が求められます。なので、やり方を変えなければいけないと感じていたんです」(大人向け製品の販促企画を担当する福知 厚志さん)
いつまでも持ち主に寄り添う鞄を 土屋鞄製造所が手掛けるブランド作り|Shopify

そこで、目指したのは「WEBエンジニア・開発ディレクター・ECオペレーター・マーケター・カスタマーサポートが必要な大人数のチームユニットではなく、スモールチームで改善を自走できる組織」です。他社ブランドやD2C企業の成功事例からShopifyを導入すると、外部に委託していた業務を内製化できるようになり、検証から実装までの時間が短縮されました。

ランドセル事業から大人向けの革製品事業へと事業を拡大した土屋鞄製作所。成功の秘訣は、伝統あるランドセル作りの知見に加えて、ウェブマーケティングを起点としたスピーディーな対応力にあったと言えるでしょう。

事例7:objcts.io <イノベーターのためのレザー製品>

objcts.ioの上質なレザー製品は、IT・ファッション業界に関わる人々の間から愛用されている。

土屋鞄製造所で商品製作やサイト・SNS運営などに携わったメンバーが中心となって立ち上げたobjcts.io(オブジェクツアイオー)。本革ながら防水機能と軽量を追求したバックパックや、MacBookやiPadをそのまま入れて持ち歩けるスタイリッシュなデザインの収納ケースなど、機能とデザインを兼ね備えたレザー製品の企画・製造・販売を行っています。

創業者のZOKEI代表取締役 沼田雄二朗さんは、土屋鞄製作所のSNS運用を通して顧客からダイレクトに反応をもらえる喜びを感じ、レザーを起点としたデジタルドリブンの新しいブランドをつくろうと考えたと言います。

「レザーアイテムは特別なプレゼントにされたり、小学生の間はずっとランドセルを使ったり、人生においてもすごく重要な素材だと感じていました。使い込む楽しさや、言葉では表現できない情緒的な価値があるんですよね。僕はファッションが好きですが、特にバッグはデザイン性だけではなく機能性が重要になる特殊なアイテム。僕自身ガジェットやテクノロジーが好きだったので、そういったアイテムに合う機能的かつ上質なバッグがないなと感じていたんです」(沼田さん)
顧客との「共創関係」を重視 レザーブランド objcts.ioが目指す時代に適したものづくり|Forbes

顧客と近い距離でのものづくりを心掛けているobjcts.ioは、ビジネス向けチャットツールのSlackでヒアリングを行ったり、アトリエを併設したショールームでの自然な会話をヒントに商品企画を行ったりしています。また、ShopifyのAR機能を使ってショールームに来店できない顧客にもオンラインでの充実したショッピングを提供しています。

事例8:HushTug <モンゴルレザーを使ったメンズバッグ> 

HushTugは消費者、生産者、社会に対してWin-Winの関係を目指す。

HushTug(ハッシュタグ)を運営するのは、ラズホールディングスの代表取締役 戸田貴久さん。レザーの本場であるイタリアにも輸出される上質なモンゴルレザーを使ったメンズバッグを、他ブランドの1/2程度の価格で販売しています。

日本国内にはたくさんのメンズバッグブランドが存在しますが、レザーバッグとなるとどのブランドも5万円前後と高めです。戸田さん自身も20代前半の頃、欲しいと思ったレザーバッグが高価格で諦めた経験があると言います。

目指したいのは、ちょうど手が届くくらいの値段のレザーバッグを販売すること。戸田さんが選んだのは、製品の質を落とすことでも、職人さんへの報酬を削ることでもなく、製造から販売までを自社でコントロールして無駄なコストをカットするD2Cという道でした。

「いまは革を取引先の革工場から調達していますが、皮のなめし工場を買収し、遊牧民から直取引をして仕入れた皮を自社工場でなめして製品化したい。いまは遊牧民が売る皮は二束三文で買い叩かれています。そのため、皮の扱いも雑で、穴だらけのことが多いのですが、適正な価格で引き取れば、きれいにやってくれるはず。そこまでやって初めて本当のD2Cだと思っています」(戸田さん)
(製造〜販売までを手掛けモンゴルに一つの産業を創ろう!メンズバッグHushTugの挑戦 <後編> |Shopify)

モンゴルレザーのクオリティを活かせる人材を育て、モンゴルにひとつの産業を築こうという想いの戸田さん。クラウドファンディングアフィリエイトマーケティングで志と熱意を伝えながら、着実にファンを増やしています。

事例9:煎茶堂東京 <新しい日本茶のスタイル>

元I T業界のデザイナーである創業者たちが生み出した、洗練されたデザインの銀座の店舗。

カジュアルで新しい日本茶のカルチャーをつくり出す煎茶堂東京。伝統的な「茶道」と利便性重視の「ペットボトル」に二極化している日本茶のあり方に異議を唱えたのは、LUCY ALTER DESIGN代表取締役の青栁智士さんと谷本幹人さんです。

「同じ嗜好品飲料のコーヒーや紅茶は、産地や加工の違いなどが知られていて、楽しまれています。ワインもそうですよね。それなのに、煎茶の産地や加工の違いは知られていない」(青柳さん)
(ブランドたまご 第39回 / IT企業出身デザイナーが淹れる、語りたくなる煎茶体験「煎茶堂東京」|HAKUHODO)

煎茶堂がこだわったのは「シングルオリジン(単一農園・単一品種)」であること。一般的に出回っているブレンド茶のように生産者も消費者も中身がわからない商品ではなく、それぞれのお茶の違いや良さが評価される新しい日本茶を生産者とともに作っています。

また、日本茶そのものを売るのではなく、日本茶を楽しむ生活を提供して定着させようとする煎茶堂は、お茶のパッケージ、急須や茶器などの小道具に日本文化の美学であるミニマルなデザインを採用しています。なかでも、現代人のライフスタイルに合わせてデザインされたシンプルな急須は煎茶堂の看板商品です。

煎茶堂は銀座に立ち上げた煎茶専門店「煎茶堂東京」と喫茶が中心となる「東京茶寮」を、ブランド体験ができる場として重視しています。一方、オンラインストアで利用できるお茶のサブスクリプションサービスでは、月替りのお茶と情報誌、生産者のインタビューを中心とした映像を届け、日本茶の美味しさをビジュアルで伝えています。

事例10:CRAFT X <日本のものづくりとテクノロジーを掛け合わせたクラフトビール>

アメリカで味わったクラフトビールの美味しさに衝撃を受けた長谷川さんは、「もっと多くの人にクラフトビールを味わってもらいたい」と考える。

2020年1月に立ち上がった日本生まれのクラフトビールブランド、CRAFT X(クラフトエックス)。「日本のモノづくりとテクノロジーの融合」をテーマにしたMOON-X株式会社が手掛けるD2Cブランド第一弾です。

MOON-X株式会社の創設者の一人である長谷川晋さんは、起業前はP&G、楽天を経てフェイスブックジャパン代表取締役を務めていました。キャリアの流れから自然とD2C領域での事業展開を考えるようになり、楽天時代に知り合ったエンジニアの塩谷さんとともにマーケティングとデジタルの両論を進めながらブランドを構想していきました。

「日本のモノづくりは世界的に見ても素晴らしい。いいものを作っている会社はたくさんありますし、いいものを作っている人もたくさんいるのですが、なかなかテクノロジーをうまく活用できていない。素晴らしいものがあるのに、広められていない。その“広める”部分を僕がこれまでのキャリアで培ってきた知識を生かして手伝っていきたいと思っています。」(長谷川さん)
(元フェイスブックジャパン代表の次なる挑戦。まずはクラフトビールから|Forbes進化するビール 名門酒蔵とFacebook元幹部の出会い)

CRAFT Xの強みは、消費者の声をもとに短いサイクルで商品をアップデートできること。テスト販売で購入者を対象にアンケートを実施し、フィードバックをもとにレシピを変更するというプロセスで、消費者とともにブランドを育てています。

事例11:Allbirds <自然素材を使った快適なシューズ>

オバマ前大統領やGoogleの共同創業者ラリー・ペイジなど有名人にも人気のシューズ。

米タイム誌に「世界一快適なシューズ」と評されたAllbirds(オールバーズ)。元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウンさんとバイオテクノロジーの専門家であるジョーイ・ズウィリンガーさんが共同で立ち上げた2016年創立のシューズブランドです。

大きなロゴや目立つ色、化学繊維を使った従来のスニーカーのあり方に疑問を持っていたティムさん。新しいコンセプトのシューズをジョーイさんとともに開発して販売したところ、シリコンバレーのテック業界の人たちやセレブの間で話題になり、2年で100万足の売上を達成しました。

大手ブランドが中心となるスニーカー市場のなかで、Allbirdsが頭角を現すことができたのはなぜでしょうか。それは、Allbirdsが「履き心地の良さ」「サステイナビリティ」「デザイン」にこだわったワンモデルからスタートし、エコで履き心地の良いシューズとしてブランドを確立したからと考えられます。

売上の8割がオンライン経由であるというAllbirdsは、消費者からのフィードバックをもとに商品をアップデートしています。一番最初に販売し始めた「Wool Runners(ウールランナー)」は、2016年3月のローンチ後に30回ほど細かくデザインを変えています。

オンライン経由での販売を中心としながらも世界各国に店舗を拡大するAllbirds。2020年1月には日本にも上陸し、原宿に第1号店を開いていてオープンの日には過去最高の売上を記録しました。

D2Cで成功するための3つのポイント

11の事例を見ると、「やりたいことを突き詰めた結果、D2Cというビジネスモデルに当てはまった」という場合と、「D2Cをやろうと決めて、どんなブランドを立ち上げるかを考えた」という場合の2パターンがあることが見えてきました。

また、一口にD2Cと言っても、完全にオンラインのみで販売するブランドと、オンラインと実店舗を使い分けながら販売するブランドがあることもわかりました。

成功しているD2Cブランドが実践しているポイントをまとめると、

  • SNSを一方的な情報発信の手段としてではなく、顧客と交流するための手段として活用している
  • ECを販売の主戦場と位置づけて、顧客情報をもとにさらに良い商品を生んでいる
  • 商品そのものを販売することよりも、最高の顧客体験を提供することを重視している

という3点に集約できるでしょう。この記事を読んで、「D2Cに挑戦してみよう!」と思ったら、今回の事例に登場したD2Cブランドも利用しているShopifyでネットショップを開設してみませんか。

文:廣田 恵


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