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アメリカ市場で成功するための越境EC・商品選びのいろは

ニューヨークでの日本企業の存在感は時代とともに変化しています。ニューヨークを象徴するビルの一つ、ロックフェラーセンターまでをも保有していたバブルの時代。バブル崩壊後の長引く不況で地銀や小さな事務所を構えていた日系企業の多くは撤退してしまいました。そして今、少子高齢化により縮小しつつある日本市場と対峙し、日本企業にとって海外への販路拡大が大きな課題となっています。人口3.3億人と日本の3倍近くの規模の人口で、これからも成長が見込めるアメリカ市場は、日本企業にとって魅力的です。

多くの人たちが憧れるアメリカ市場ですが、言葉も商環境も異なる環境でのビジネスは決して簡単ではありません。しかし、アメリカ、特にニューヨークで認められた商品は世界で通用する、とも言われ、アメリカ市場へ参入する日本企業は後を絶ちません。

アメリカ市場への進出の方法としては、どのようなものがあるでしょうか。大きく分けると、3つの方法が考えられます。

(1)現地の展示会に出展して現地企業とのコネクション作り
(2)現地事務所を作って独自に市場調査や販路開拓
(3)越境EC

それぞれの方法のメリットやデメリットはどのようなものでしょうか。

現地の展示会に出展

アメリカを代表するマンハッタンの展示会場、ジャイコブ・ジャビッツセンター。その広さから、同時期に複数の展示会が開かれていることも

アメリカでは、ビーガンフード、子供服、サステイナブルファッション、雑貨など、それぞれのテーマでの展示会が年間を通じて大都市で開かれています。そうした展示会に出展して自社のブースを持つことで現地のバイヤーに商品を手にとって見てもらい、そうしたバイヤーたちと直接話をできることが展示会の大きな魅力です。アメリカ人は意思決定が早いので、その場で卸の大口のオーダーが取れるチャンスもあるかもしれません。

意思決定が早いアメリカでは、展示会は多くのバイヤーと一度につながることができる良いチャンス

その一方で、展示会の出展には、ブース代、準備や会期中のスタッフへの給与支払い、日本からの主力メンバーの出張代など多くの経費がかかってしまいます。また、英語が流暢なスタッフがいない会社の場合、現地での商談のために通訳を雇う必要も出てきます。

展示会に出展する企業は、まだ現地に事務所がないケースが多いですが、その場合、展示会の会期後にバイヤーが商品を購入したいと思っても、現地に在庫が全くないという事態にもなりかねません。海外進出をサポートするような会社と契約を結んで展示会後のフォローアップ対応をお願いすることも可能ですが、自社の社員ではないため、商品への情熱は思ったように伝わらない可能性も高いですし、費用も発生してしまいます。

アメリカ市場に自信を持って送り込みたい商品があり、会社としてもある程度の経費を負担できる場合は良いですが、そうでない場合、現地の展示会への出展は、中小規模の企業にとっては大きな負担となってしまうのが現実です。

現地事務所の設立

それでは、現地事務所を作ってしまって現地スタッフにそうした対応を任せてみる方法はどうでしょうか。これだけインターネットが発達し、世界中の情報が手に入るようになった時代でも、実際に現地にいるからこそ入手できる情報や、人が人を呼ぶアメリカのビジネスの世界では、現地でこそできるネットワークも多くあります。また、現地に事務所があれば、展示会の間だけでなく、年間を通じて現地企業へ商品を売り込むことができます。

ただ、その一方で、現地事務所の家賃や駐在員の手当など、恒常的にコストがかかってしまいます。また、それだけでなく、給与の支払いや確定申告など、会社経営のための事務作業への対応もそれなりの負担となることを忘れてはいけません。

現地事務所の設立と経営には、それなりの事務作業も発生することを忘れずに

さらに、日本からどんなに優秀な社員を駐在員として派遣したとしても、英語でビジネスを行う環境、日本とは異なる生活環境に慣れるまでには時間がかかりますし、アメリカ人のビジネスのやり方を知らずにどんなに頑張ってもなかなか結果は出にくいかもしれません。一方で、流動化した労働市場で、忠誠心を持って働いてくれる自社のニーズに合ったアメリカ人スタッフを見つけるのも至難の技です。

現地事務所の設立は魅力的ですが、様々な事項を考慮した慎重な検討が必要です

越境EC

展示会への出展や現地での事務所の設立のように本格的な形でなく、手軽にアメリカ市場で商品を販売する方法として注目を集めているのが、越境ECです。越境ECとは、ネットショップでの商品販売の形態で、在庫は販売元の国で保有し、注文を受ける都度、販売元の国から発送を行う方法です。パンデミックをきっかけにより多くの会社が参入している越境EC

アメリカでは以前からオンラインショッピングが広く普及しており、アメリカ人は実物を見ずに商品を購入することへの抵抗は少ないです。また、自国で入手困難な商品を海外から取り寄せる愛好家も多く、そうした方々は関税や高い送料を負担することへの抵抗も少ないです。

販売元にとっても、英語対応のホームページを作り、お客さんから英語で届く質問に対応できるスタッフを社内に確保するだけで事業を開始できることから、ファッション、雑貨を中心に越境ECのビジネスは増えています。

なお、一つ知っておかなければいけないのは、良いもの、日本で売れているものだからといって、アメリカでも同じように売れるとは限らない、ということです。それは、日本人とアメリカ人の嗜好の違いや生活スタイルの違いに起因するところが大きいです。そのため、越境ECを成功させるためには、商品の慎重な選定が重要です。

また、日本の商品は一般的に小さすぎる、ということがよく言われています。サイズの違いであれば、進出したい国の競合他社のホームページを見て、その国での一般的なサイズ感を研究することができるでしょう。それ以外の嗜好の違いはなかなか最初からは分からないかもしれませんが、越境ECで商品を販売しながら分析を続けたり、市場調査で現地へ行く機会があれば現地での様子を研究したりすることで対応が可能です。

それでは、アメリカ市場をターゲットにした際に、越境ECで売れやすい商品とはどのようなものでしょうか。今回は、そうした商品を3つのカテゴリーに分けてご紹介します。

1)日本の伝統文化に根ざした商品

私はニューヨークに12年住んでいますが、ニューヨークは芸術への造詣が深い人も多く、そうした人の中には日本の伝統文化に興味がある人も一定数いることをかねてから感じていました。ここ数年は、藍染めの商品や波佐見焼や九谷焼などの日本の陶磁器、手ぬぐいなどをアメリカ人が経営しているセレクトショップで見かけるようになりました。

おしゃれな雑貨屋さんが多いロウアーイーストサイドの人気セレクトショップにはいつ訪れても日本関連の商品が置かれています。写真奥には扇子と壁から掛けられた手ぬぐいが

日本で藍染め技術を習得し、ニューヨークへ戻ってからその技術を使って洋服やカバンなどの小物を作っているアーティストに会ったり、藍染めのスカーフが人気のアメリカ人女性がいるという話を聞いたりしたことがあります。陶磁器は、日本ならではの技術力の高さによる質の高さ、そしてそのシンプルなデザインがアメリカ人に人気のようです。また、子供用の甚平、着物の帯のようになかなか海外では入手しづらい物もアメリカで注目度が高いです。日本人の発想では帯は着物のために使用、となりますが、アメリカでは、着物の帯を自宅のテーブルセッティングに使うためにと購入する方も少なくありません。こうしたユニークな発想は、海外の方々と話して初めて分かることでしょう。

2)日本でしか買えない技術力の高い商品

以前、日本に数年在住していたアメリカ人の友人が、ニューヨークの木工ファンの間で日本の工具が注目を集めていると話していました。長年の経験が集積した高い技術力のもとで作られた日本の精密な工具の代替品はアメリカにはなかなかないそうです。国内需要の低下で悩んでいた中小企業が、インスタグラムで商品の発信を始めたところ、海外からの問い合わせが相次ぎ、既存の社員で越境ECを始めた、という話も聞いたことがあります。


高い技術力を評価されて海外からの注文も多い伝統的な日本の工具を扱う倉重電動工具

このように、日本ではニッチな市場で存続が厳しい状況でも、日本でしか買えない高い技術力のある商品であれば、日本の外に目を向けると新しい販路が広がる、ということは十分に考えられます。海外からの購入となると関税や送料負担もありますが、その商品がどうしても欲しいというファンであれば、そうしたことは障害となりません。

3)日本のサブカルチャー関連商品

アニメや漫画といった日本のサブカルチャーはアメリカで大きな市場となっていて、数万から数10万人をも動員するイベントもあります。そのイベントのために全米の他の都市、時には海外から駆けつけて来るファンもいることでしょう。マンハッタンに唯一の日系書店も、3フロアのうち1フロア全てを漫画とDVDコーナーとしています。漫画やアニメ、そのキャラクターグッズ、フィギュア、プラモデルのように日本発の物はコアなファンであればぜひ入手したい商品。特定のファン層をピンポイントでターゲットにする形となりますが、成熟した市場となっているアメリカのサブカルチャーのファン層にうまくアピールすることができればビジネスの拡大が期待できます。
週末の朝早くから賑わうマンハッタン唯一の日系書店、紀伊国屋書店のマンガコーナー

最後に

こうして見てきたように、日本ではあまり目新しくない商品だったとしても、海外の方の目には違って映ることもあり、そうした需要を掘り起こすことができる越境ECは大きな可能性を秘めています。

同じ商品でも、英語の説明書きを丁寧に行ってお客さんが商品をイメージしやすいようにして(例えば、アメリカ向けではサイズはインチ表記とするなど)、写真や動画を多く掲載することで商品を使用しているイメージをホームページで上手く伝えることができると、オンラインであっても商品の魅力を十分アピールすることができます。

越境ECを通じて、日本が誇る商品が世界でさらに羽ばたくことができる日が来ることを願っています。

なお、越境ECを始める際の具体的なステップは、「越境EC」を始めるための完全ガイドをご覧ください。


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