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Webデザイナーの価格戦略ガイド

デザインや開発の仕事の価格戦略をどう決めるかは、あなたのビジネスの財政面での成功に大きく影響します。請求額が低過ぎれば、オペレーションコストをまかないきれません。高過ぎれば、クライアントを獲得できません。このどちらかの状況に陥ってしまうと、自分でクリエイティブビジネスを運営するというビジョンは、すぐに終焉を迎えます。

クライアントへの請求額は言うまでもなくビジネスにおける重要な検討事項ですが、その額をどう決めるかもやはり重要です。価格設定に体系的な科学はありませんし、どんなケースにも適用できる公式などもありません。しかし、プロジェクトの料金を決定する方法を吟味し、その戦略が自社に合うかどうかを判断することは、とても重要なのです。

この記事を通じて、3つの価格戦略について解説し、それぞれの利点と欠点を見ていきます。どれがあなたのデザインビジネスや開発ビジネスにもっとも適切なのか、明確になると思います。

 

1. 時間制の価格設定

時間ベースの価格設定は、おそらくクリエイティブ業界でもっとも一般的な方法でしょう。一番シンプルで頭を悩ませる必要はありません。作業スコープの定義が済んだら、プロジェクト終了までにかかるであろう総時間を導き出すことができます。そこに、時間あたりのあなたのレートを掛ければプロジェクトコストがわかります。これが最終予算の交渉時にクライアントにシェアする総額となります。

時間ベースの価格設定式
1時間あたりの金額 × 作業時間 = 作業項目費用
Σ(全作業にかかる費用) = プロジェクト費用

時間ベースの価格設定は、あなたがエージェンシーで働いている場合や外注を使う場合にもう少し複雑になります。エージェンシーでは、プロジェクトにデザイナー、開発者、コピーライター、営業担当など複数の人が関与します。個々人には指定された時間あたりのレートがあり、これは経験やスキル、分野によって違ってきます。関係者がプロジェクトに費やした時間を追跡し、個々のレートを掛ける必要があります。外注業者を使う場合は、彼らの価格をプロジェクトの見積もりに追加します。このとき、彼らに確実に支払えるように少し金額に余裕を持たせておきます。

メリット

・適用しやすい:時間あたりのレートを決めてしまえば、簡単に適用できるモデルです。上述したように、変動要素の追跡、計算、クライアントとのコミュニケーションが比較的楽です。

・クライアントが把握しやすい:見積もりの中に個々のタスクと金額が詳述されているため、時間ベースの価格体系を好むクライアントもいます。予算がどこにいくら使われているかが正解にわかるため、コストに関する懸念が小さくなります。

・稼ぎどころがわかる:時間ベースの価格設定では、各プロジェクトにおけるコスト、所要時間、収入を測ることが求められるので、利益が生じている部分の見取り図が得やすくなります。この情報は、あなたのビジネスが進むべき方向に影響を与えるような、もっとも利益率が高いプロジェクトタイプの特定に役立ちます。

・スマートなビジネスオーナーになれる:また一方で、あなたのワークフローやチームにとって効率的でもなければ利益率が高いわけでもないエリアを特定することも可能になります。こうした情報を武器に、そのビジネスエリアで生産性や効率を高めるような手続き上のあるいは組織的な変更を実施することができます。

デメリット

・直接的な利益の衝突がある:時間ベースの価格は、あなたのニーズとクライアントのニーズの不一致を引き起こします。クライアントは価格を低くおさえるために早く仕事が終わることを望み、あなたは効率的に仕事をすればするほど請求額が低くなってしまいます。これは厳しい環境をプロジェクトメンバーに突きつけることにも繋がり、プロジェクトのタイムマネジメントという点では、倫理的に問題があります。

・クライアントが満足しないというリスクが高まる:プロジェクト全体の見通しがよくなるというのは、クライアントが時間ベースの価格を気に入る理由でもありますが、これは同時にプロジェクトが予想のコストやスケジュールを超えた場合に大きな不満を引き起こす可能性もはらんでいます。トータルのコストと時間が両者に見えているので、そこからの逸脱はあなたの効率性や仕事遂行能力をクライアントが疑問視することにもなります。

・作業時間を正確に見積もるのが難しい:時間ベースの価格モデルの最大の落とし穴は、プロジェクトの見積もりが正しくなかった場合のリスクです。見積もりで提示した数字を大きく上回ってしまう結果となった場合、価格の上方修正をクライアントに納得してもらうという厳しいポジションにあなたは置かれます。多くのプロジェクトをこなしていれば正しく見積もることは簡単になりますが、それでも必要な時間を過小評価してしまうリスクはつねに付きまといます。

・時間管理が面倒:タイムシートの管理をしたことがあるなら、それがいかに単調なものかわかるでしょう。あなたとチームは、プロジェクトに関った時間をすべてこつこつと記録する責任を負います。時間ベースの価格を戦略の軸とするなら、このプロセスを避けることはできませんが、外部のタイムトラッキングアプリを使うことで、シンプル化することはできます。

時間制の価格がふさわしいのはどんな時?

だれでも時間ベースの価格体系を使用できますが、フリーランスを始めたばかりのデザイナーや開発者にとってこのモデルは最も価値があります。キャリアのこの時点では、見込み客にあなたの価値を証明する実績や事例をほとんど持っていないでしょう。経験がないと見なされてしまうと、成功したデザインプロジェクトをたくさん持っている場合と比べ、信頼や契約を勝ち取るのはむずかしくなります。

時間ベースのアプローチを取ることで、こうした問題を回避できます。見込み客は逐次的にあなたの価値を評価することができ、何に対価を支払っていて、プロジェクトがどれくらいかかるのかを正確に理解できます。こうした情報を事前に示しておけば、クライアントは自信を持ってあなたと働くことができるでしょう。

2. 固定の価格設定

時間あたりで請求するのではなく、固定価格(またはプロジェクトベース・プライシングとも呼ばれる)によってプロジェクトに関する仕事をすべてカバーして提供することもできます。

しかし、時間あたりで請求しないからといって、プロジェクト完了までに必要な労力を把握しなくてもいいわけではありません。ほかの価格モデル同様、固定価格モデルは作業範囲と最低額(損益分岐点)を決めるところから始まります。最低額を決めたら、その額の一定パーセンテージをプレミア価格として設定することができます。そうすることで利益を確保しながら仕事を終えることができ、作業範囲に変更があった場合の余裕を残すことが可能になります。

同じような作業の仕事(メールマーケティングのテンプレ、ECサイトのセットアップなど)をいくつか手掛けたら、同じタイプの新しい仕事に対して、繰り返し固定価格を請求できるようになります。

メリット

・シンプルな仕事の場合は優れたソリューションになる:各機能と必要な要素の特定が容易で、反復性のあるクライアントプロジェクトの場合、固定価格制は最適です。低予算のクライアントとの仕事、または指名エージェンシーとして小規模で頻度の高い仕事がメインの場合に、もっとも有効です。

・小規模な案件でマージンを大きく残せる:小規模なプロジェクトの場合、タスク完了にかかる短い時間を隠すことができ、あなたのビジネスの健全な利益を確保します。

・クライアント側でも理解しやすい:すべてのクライアントが、フリーランスやエージェンシーの価格モデルを完全に理解しているわけではありません。固定価格制は、作業項目名を羅列して圧倒する代わりにプロジェクト全体をカバーする単一の数字を示すことで、価格コンセプトをわかりやすくします。クライアントはあなたの固定価格を見て、納品予定物と比較し、あなたと仕事をするかどうか決定します。

・プロジェクトの価格設定が楽になる:ある種のプロジェクトにかかる時間やコストを理解できるようになったら、クライアントに見積もりを提示するまでの時間を短縮できます。しかし、これはあくまで似たような作業範囲の仕事の場合にのみ当てはまります。

デメリット

・質より量を重視:固定価格制の場合、あなたとチームには、限られた時間の中でできるだけ数をこなそうとする自然な力が生じます。その結果、仕事に着手したいがための意図しないクリエイティビティの制限が生まれ、最終プロダクトの質という点でネガテイブな影響を与えかねません。

・作業範囲の変更を考慮していない:決められた固定価格は、作業範囲の変更や追加機能を要求するプロジェクトを想定していません。通常のプロジェクトでは考慮していない追加機能に対しては、上乗せ価格などで対処できますが、割り当てられたスケジュールを超過するようなケースはカバーできません。

・完璧にするには時間がかかる:それぞれのプロジェクトごとにスイートスポットとなる価格を導き出すには、いくつかプロジェクトをこなしてみる必要があります。繰り返し経験を積むことで、予測が正確なものになり、市場での適切な価格に自分を位置付けることが可能になるでしょう。

・クライアントはコストであなたを評価する:特定のプロジェクトに対して型通りの価格を提供するようになると、クライアントは価格のみで競合とあなたを比較するようになります。価格が低過ぎれば、あなたの価値にネガテイブな印象を与えますし、高過ぎれば、より安価な競合にクライアントが流れるということが起こります。

固定価格がふさわしいのはどんな時?

固定価格は、かなりのコンサルティングの実績を持ち、経験を積んだデザイナーや開発者(またはエージェンシー)にとって最適です。この方法を取ることで、異なる価格ポイントを実験する時間が生まれ、利益を確保しながら許容可能な最低額を明確化することができます。

これがメインの戦略であるかどうかは別にしても、高度なカスタマイズや技術を要求しない仕事に固定価格を当てはめるべきです。Webサイトをフルで作るような複雑なプロジェクトには向きませんが、小規模で頻度が多いメールテンプレートやバナー広告、ときにはシンプルなランディングページやWebサイトのセットアップなどであれば、特別にうまくいきます。

固定価格制は、アドオンのリクエストにも有効な戦略です。レビューのための追加処理や、作業範囲外の機能、プロジェクトを完了させるための追加リソースなどをクライアントからリクエストされた場合に、固定価格で請求できます。

3. バリューベースの価格設定

あなたのクライアントは、ロゴやランディングページの作成、または数行のコードのためにあなたを雇うのではなく、あなたの専門知識や価値が彼らのビジネスに役立つと考えて雇うのです。それゆえ、価格戦略にその事実を反映することは理にかなっています。

時間制や固定制の価格戦略は、あなたがクライアントに提供する成果物(とそれにかかる時間)は把握しやすくわかりやすいものですが、価値ベースの場合には、深いレベルでのコンサルティングサービスを考慮したうえで、自社サービスからクライアントが得る目に見えない利益や恩恵をカバーするような見積もりが必要となります。

残念ながら、こうした利益や恩恵は本質的にわかりやすいものではなく、それを指摘することは自己評価という点でかなり厄介な経験となります。とくに、価値ベースの価格に初めて取り組むのであれば、なおさらです。

アプローチの方法として1つ考えられるのは、あなたの仕事を通じて得られるビジネス上の成果を、プロジェクト策定の初期段階で考慮することです。彼らの利益や恩恵の提示やチームの効率性の上昇などがこれに該当するでしょう。これらの成果をクライアントに伝えて、価値という点における高い価格ポイントを支持してもらう必要があります。価値ベースの価格についてのコミュニケーションは簡単とはいえませんが、正しくおこなうことができれば、仕事に対してあなたが設定する価格ポイントをクライアントに理解してもうらことが可能になります。

その案件を必要としているときに、この価格モデルでいくら請求すべきなのかを知っておく必要もあるかもしれません。アートディレクターであり、Pricing Designの著者でもあるDan Mallは、価値ベースの価格設定はクライアントの利益というよりも、プロジェクトのタイミングに関わるものだと言います。

「たぶん今月は、仕事がいっぱい入っているので、新しい仕事を引き受けるにはそれなりの金額を要求することになる。でも来月は仕事がほとんどないとすると、低い金額でもプロジェクトを引き受けるかもしれない。同じ取引先であっても、タイミングによって物事が変わってくるわけです。わたしにとって価値ベースの価格モデルというのは、顧客に対する価格設定というより、タイミングに対する価格となるのです。」

たとえ定額の価格を設定しているとしても、価値ベースの価格モデルは、ニーズやタイミング、経験などの変数に基づくため、固定価格モデルとは異なってきます。つまりあなたのポジションはコンサルティングサービスとしての価値によって決まり、クライアントの仕事のために費やす時間によってのみ決まるわけではないのです。

メリット

・金額ではなく質であなたが評価される:価値ベースの価格にすることで、クライアントとの会話の内容は、各作業項目のコストから彼らのビジネスに対して提供できる価値へと移行します。この変化により、クライアントのフォーカスは開発スケジュールの延長や追加のQ&Aラウンドの超過コストについてではなく、あなたの納品物の質とビジネスへの影響という点に絞られます。

・クライアントは価格の確実性を求める:価値ベースの価格に付随する確実性は、過小見積もりや過剰請求の懸念を取り除くのに役立ちます。請求書を受け取るまでの間プロジェクトの価格が変わらないということがわかっていれば、クライアントはより安心できます。

・価格を試すことができる:あなたの設定した価格価値はバリューとタイミングに依存しているので、マージンに関するテストをおこなう余裕があります。いろんな案件で実践して、あなたの価値のスイートスポットを見つけ出すことができます。

・潜在的な収益性が高い:平易でシンプルな価値ベースの価格設定は、ほかの価格戦略と比べて利益幅を広げることが可能です。あなたの会社の収益を増加させることは、まったく悪いことではありません。

デメリット

・「価値」の試算はむずかしい:価値に値付けすることは科学というよりアートに近く、時間や実験を必要とし、あなたの現状を査定して現在のプロジェクトに適したものを決定することが求められます。価値を査定するプロセスは最初のうちは恐ろしいものですが、繰り返すうちに要領がわかってくるでしょう。

・古い慣習や抵抗勢力の存在:もしあなたがエージェンシーで働いていて、価値ベースモデルへの移行を検討中なら、内部的なすべてのステークホルダー(アカウントマネージャーやプロダクトマネージャー)に対して働きかけ、会社全体でシームレスに移行が実現するよう努力する必要があります。

・サービスを低く見積もるリスクがある:初めて価値ベースモデルを適用するとき、プロジェクトに対して小さく見積もりがちです。あなたの価格プレミアはクライアントに提供できる潜在的な価値の評価にかかっているのですから、その価値にいくらの値札を付けるかを安心して決められるようになるには、多少の試行や価格の実験が必要となるでしょう。

・高いレートを正当化するのは困難な場合がある:価値ベースの価格は、ほかの戦略の場合よりも高い金額になることがよくあります。これはクライアントのコストダウンという目標に反します。あなたの価格を受け入れやすくするために、ツールを使うなどしてプロジェクトの詳細を算出し、クライアントにそれを提示します。プロジェクトが彼らのビジネスにどれほど影響を与えるかを、クライアントに思い出させることを忘れないように!

価値ベースの価格がふさわしいのはどんな時?

価値ベースの価格設定はだれでも利用できますし、利用するべきですが、高い価格ポイントを正当化できるような、経験豊富なフリーランサーやエージェンシーにもっとも適しているといえます。ケーススタディを参照したり、過去のクライアントのビジネスにあなたのサービスがどんな影響をもたらしたかを説明したりして、新しいクライアントとの信頼を構築していきましょう。あなたが過去に作ったデザインや開発ワークの結果を見ることで、彼らはあなたと契約する意欲を高めます。しかしだからといって、キャリアの初期の段階で価値ベースの価格戦略を試してはいけないわけではありません。早く始めるほど、この戦略になじむのも早くなります。

正しいと感じられる価格とは

価格設定は主観的なプロセスです。あなたのプロジェクトを値付けする厳密な方程式はありません。あなたが最終的に選択することになる価格戦略は、クライアントや現在のプロジェクト、キャリアにおけるステージなどに立脚することになるでしょう。状況に応じて価格戦略をいろいろ変えてみることは、何も問題ではありません。

そこで、あなたのビジネスで選択可能な戦略と、もっとも価値を生むことができる環境を、深く理解することがとても重要になるのです。これらの知識を今後のプロジェクトを評価するために活用してください。そして、あなたとクライアントにとって最適な価格モデルを見つけましょう。

原文: Simon Heaton 翻訳:深津望

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