一昔前は、お金を保管してレシートを印刷するだけのレジ (キャッシュレジスター)が主流でしたが、現在は、多くの業界でPOSシステムが搭載されたPOSレジの導入が進んでいます。
今回の記事では、POSレジを導入したいと考えている方に、POSレジの基本やメリット・デメリット、おすすめ機種についても解説していきます。
目次
- POSレジとは?
- POSレジとレジスターとの違い
- POSレジの主な機能
- POSレジの種類と価格相場
- POSレジ導入のメリット
- POSレジ導入のデメリット
- おすすめのPOSレジ5選
- Shopify ユーザーならShopify POSが便利
- POSレジについてよくある質問
POSレジとは?
POSレジとは、お店で支払いがあった時点で売上データが記録されるPOSシステムを搭載したキャッシュレジスターです。POSはPoint of Salesの略で、日本語では「販売時点情報管理」と呼ばれ、販売情報を入力したり収集したりするシステムを言います。レジとPOSシステムがつながったPOSレジは1980年代から日本にも普及しはじめ、近年ではスマホやタブレットを利用したPOSレジ導入も増加しています。
POSレジは、美容室やホテル、薬局、コンビニ、スーパー、飲食店など、様々な業界で使われています。例えば、ネットショップも持つ小売り店がネットショップと連携できるPOSレジを導入し、店舗での顧客情報や購買データをネットショップの販促やマーケティングに活用したり、オーダー商品も扱う専門店が複数の店舗間のオーダー情報を一元管理することで、スムーズな受注につなげています。
POSレジとレジスターとの違い
POSレジとレジスターとの違いは、POSシステムが搭載されているかどうかです。
従来のレジスターは支払い時のやりとりに必要な機能だけを搭載していて、会計とお金の保管にしか使えません。一方POSレジは多機能で、リアルタイムで商品を販売した際に得られる細かな情報を集計・管理・分析できるPOSシステムが搭載されています。
POSレジの主な機能
商品情報・バーコード情報の管理
商品の情報を登録することができます。バーコードで商品情報を取得することも可能です。登録された商品情報はデータベースとして一元管理できるようになります。
売上データ管理
POSレジには、売れた商品のデータや購入された日時がリアルタイムで記録されます。この機能によって、日々の売り上げが一目で分かります。
蓄積された売上データを分析することで、販売戦略や人員配置の最適化もできるようになります。
在庫管理
売り上げがあると在庫情報が自動で更新されるので、商品管理が簡単にできます。在庫をより正確に把握し、人気商品の在庫切れを予測することで、追加注文などの対応を事前にすることができます。
顧客データ収集・管理
顧客の性別、年齢層、購入商品や来店履歴などを記録・分析することで、性別や年齢による商品の人気度や購入パターンを知ることができます。例えば、ある季節に特定の商品が売れている場合、将来同じ時期に在庫を多めに手配することで、在庫切れによる機会ロスを防ぐことができます。また、顧客に合った品揃えを保つことで、顧客満足度の向上にもつながります。
POSレジの種類と価格相場
ターミナル型POSレジ
スーパー、コンビニ、その他の一般的なお店で使われているPOSレジです。初期費用は50万円以上と高額で据え置き型のため持ち運びができませんが、必要な機能がすべて備わっています。
パソコン型POSレジ
POSシステムが搭載されたソフトウェアを、パソコンにインストールして使います。初期費用は、数十万円〜50万円ほどです。システム利用料、レシート印刷のプリンターや、決済用端末も必要になります。
タブレット型POSレジ
iPad、AndroidタブレットやスマートフォンにPOSレジアプリをインストールして、端末上でPOSレジを操作できます。タブレットなので持ち運びができるため、テーブル会計が可能になったり、ポップアップショップでも利用できたりします。初期費用は数万円〜20万円ほどです。
POSレジ導入のメリット
業務の効率化
POSレジを導入すると、売れた商品のバーコードをスキャナーで読み取ったり機械的に登録したりするため、誰がやっても簡単かつ正確に管理でき、人的ミスが減って業務の効率化ができます。POSシステム登場以前は、人が手入力で帳簿をつけていました。帳簿をつける人によって商品名が違ってしまうこともあり、販売情報を見返した時に同一商品でも商品名が複数混在するため、情報を整理・管理する手間やミスが発生していました。
リアルタイムで在庫管理ができる
POSレジは、販売された商品の情報がリアルタイムで更新されるため、在庫管理が容易になります。システムによっては、在庫数が一定数を下回るとアラートで知らせてくれるものもあり、在庫切れによる機会損失の防止にも役立ちます。
店舗が複数ある場合、各店舗で集計した売上データをまとめて分析し、在庫が切れてしまった商品を余っている店舗から融通するなどの在庫調整も可能になります。これにより販売機会を最大化し、売上の向上に繋がります。
続きを読む: 在庫管理システムの比較15選
データ分析ができる
POSレジの利用により、さまざまなデータをリアルタイムで収集し、詳細に分析することが可能になります。具体的には、どの商品がどの店舗でどれだけの量売れたのか、売れた具体的な曜日や時間帯、さらには顧客の年齢や性別に至るまで、幅広いデータを集められます。これにより、商品の販売状況の把握や顧客の購買行動の可視化ができ、今後のマーケティング戦略の策定に役立てられます。
たとえば、収集したデータをもとに特定のターゲットに対するキャンペーンを実施したり、タイムセールやクーポンを効果的に配布するといった戦略を展開するのにも有用です。
POSレジ導入のデメリット
反対に、POSレジのデメリットについても見ていきましょう。
初期費用がかかる
POSレジを導入するには、種類により数万円〜50万円以上の初期費用を必要とします。その他にも、月額費用 (数千円〜数万円)やメンテナンス費 (数千円〜数万円)も発生します。
セキュリティ対策が必要
ネット通信で管理するPOSレジは、ウイルス感染やハッカーなどの攻撃を防ぐためのセキュリティ対策を強化しておく必要があります。ソフトウェアの費用に加えて、セキュリティ対策に関する費用や基本的な知識を身に付けておくことも必要でしょう。
安定したネットワークが必要
POSレジを導入するには、安定したネット環境が必要です。光、モバイル、Wi-Fiなど様々なネット回線の中から、店舗の規模に合わせて安定した通信環境を選びましょう。タブレット型のPOSレジは便利ですが、Wi-Fiの場合、接続が不安定な場合もあるため、その点も考慮する必要があります。
おすすめのPOSレジ5選
タイプ別におすすめのPOSレジをご紹介します。
TWINPOS 9700Ti(ツインポス)/ NEC:ターミナル型POSレジ
ターミナルPOSレジのシェア大手、NECのTWINPOS 9700Tiは、スリムなうえに縦型ディスプレイを選択することも可能で、スマートフォンのような画面表示で使うことができます。有人レジだけでなくセルフレジにも活用できるのも特徴です。価格は98万円からと高額ですが、セキュリティや信頼性の高さ、耐久性などが大手ならではの魅力です。
BCPOS(ビーシーポス)/ ビジコム:パソコン型POSレジ
WindowsパソコンにインストールすることでPOSレジとして使うことができます。販売と同時に売り上げ・仕入・在庫・顧客・ポイントなどの管理が同時にでき、月額5,000円から利用できます。無償のバージョンアップや電話サポートなどもあり、小売りや専門店など多様な業種に対応しています。
Airレジ(エアレジ)/ リクルート:タブレット型POSレジ
iPadやiphoneにレジアプリをダウンロードすることでPOSレジとして使えるようになります。初期費用や月額費用が無料で、サポートも無料で受けることができます。別途契約のAirペイは、専用のカードリーダー1台でクレジットカード決済や交通系電子マネー決済など、さまざまなキャッシュレス決済手段を可能にします。
Square POSレジ(スクエアポスレジ)/ Square:タブレット型POSレジ
iPadやAndroidタブレットにレジアプリをダウンロードすることでPOSレジとして使えるようになります。4,980円からの決済端末を購入すれば、システムは無料で利用することができます。中小企業などがソフトを導入する際にかかる経費の一部が対象になるIT導入補助金を利用できます。
ユビレジ / ユビレジ:タブレット型POSレジ
ユビレジは経営改善に役立つ機能も搭載されたPOSレジです。iPadにレジアプリをいれて使います。複数店舗の情報を一元管理でき、本部からクラウド経由で店舗の売上データを見ることもできます。月額6,900円から利用でき、IT導入補助金の申請サポートも行っています。
Shopify ユーザーならShopify POSが便利
Shopify POSとは、ShopifyのプラットフォームでデザインしたECサイトの売り上げや在庫などのデータと、小売店のデータをリアルタイムで同期できるアプリです。Shopify POSを導入すれば、スマホとアプリで簡単にポップアップストアの運営をすることができ、オムニチャネルの戦略を強力にバックアップしてくれます。
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POSレジについてよくある質問
POSレジとは何ですか?
POSレジは、POSシステムを搭載したレジです。POSシステムは、お店でお客様の支払いが完了した時点で売上データを記録するので、情報を簡単に取得することができ、業務時間短縮に役立ちます。
通常のレジとPOSレジの違いは何ですか?
通常のレジとPOSレジの違いは、POSシステムの有無です。一般的なレジ (キャッシュレジスター)には、POSレジに搭載されているようなデータ収集機能は搭載されていません。POSレジの利点は、売上データ、顧客データ、在庫状況のデータなどを活用して、将来のマーケティング業務に役立てられることです。
iPadやタブレットでPOSレジを使えますか?
POSシステムはiPadやAndroidタブレットにもインストールできるため、タブレットをPOSレジとして利用することができます。ターミナル型のPOSレジと比べると価格が低く、導入価格は無料から15万円ほどです。
Shopify POSとは何ですか?
Shopify POSは、Shopifyプラットフォームのユーザーが使用できるアプリで、オンラインストアの売り上げ・在庫などのデータと実店舗のデータをリアルタイムで同期してくれます。
POSレジのおおよその価格相場は?
機種にもよりますが、無料から100万円程度です。タブレット<パソコン<ターミナルの順に相場が高くなります。また、POSレジのほかに周辺機器代がかかる場合があります。
POSレジには無料のものもありますか?
POSレジには、自前のタブレットに専用アプリをインストールして使用することで、無料で利用できるものもあります。ただし、無料版は使用できる機能が制限されている場合があるため、使いたい機能が利用できるか事前に確認が必要です。
POSレジの導入費用は?
POSシステムの導入費用には、主にデバイスやソフトウェアなどの購入費である「初期費用」と、運用費である「月額費用」があり、金額は導入するPOSレジの種類によって無料から100万円ほどまでと大きく異なります。
デバイスやソフトウェア以外にも、レシートプリンターやロール紙などの周辺機器を用意する場合はその費用も発生します。また、ネット回線を必要とするため、新たに回線を引く場合は工事費も念頭に置く必要があるでしょう。IT導入補助金などを活用して導入費用を抑えることも可能です。