新型コロナウィルスの影響で人々の生活が変化し、消費者の行動も大きく変わってきています。パンデミック以降の越境EC市場規模やEC化の増加率は、消費者がインターネットを介して商品を購入する機会が増えたことを表しています。
ECサイトを運営すれば、国内はもちろん、海外のユーザーにも商品を販売することができます。
この記事では、ECサイトの種類やビジネスモデル、ECサイトの運営業務や必要な機能などを解説します。
目次
- ECサイトとは？
- ECサイトの種類
- ECサイトのビジネスモデル
- ECサイトの例
- ECサイトに必要な機能
- ECサイト運営のための業務
- Shopifyで運営されているECサイトの事例
- まとめ
- よくある質問
ECサイトとは
ECサイトとは、ネットショッピングや電子商取引を行うサイトを指します。ECは「Electronic Commerce」の略であり、日本語の「電子商取引」と同義です。
この電子商取引は「eコマース」とも呼ばれ、インターネット上での商品の売買だけでなく、インターネットを介して行われる契約、オンライントレード、ネットオークションなども含まれます。
また、「ネットショップ」や「ネット通販」などもECサイトと同じ意味で使われます。
ECサイトの種類
ECサイトには大きく分けて「モール型ECサイト」と「自作（自社）型ECサイト」の2種類があります。
モール型ECサイト
モール型ECサイトとは、インターネット上のショッピングモールの様なプラットフォームで、多くのネットショップが1つの場所に集結しているECサイトのことを指します。
モールの集客力やシステムを利用できるのが大きなメリットがある一方、売上の一定割合を出店料としてモールに支払わなければならないというデメリットもあります。
Amazon、楽天、ebayなどがモール型ECサイトの代表例です。
自作型ECサイト
自社型ECサイトとは、企業が自社で独自ドメインを取得して運営するネットショップのことを指し、代表的な例としては、ユニクロ、無印、Shopifyなどがあります。
自社型ECサイトはさらに以下の4種類に細分化されます。
フルスクラッチ：フルスクラッチは、ゼロから自社ECサイトを構築する方法です。集客や顧客管理、決済サービス導入、サイト設計などネットショップに必要な機能を構築します。
パッケージ：ソフトウェア開発会社から、ECサイトの土台となる「パッケージ」を購入し、サイトを構築する方法です。パッケージにはECサイト構築に必要な機能が詰まっているため、顧客管理や売上管理などの機能をゼロから作らずに自社ECサイトを構築できます。
オープンソース：オープンソースとは、企業や個人が独自に開発した無料のソフトウェアをインターネット上でダウンロードし、ECサイトを構築する方法です。コストをかけずにECサイトを構築できますが、セキュリティ対策や不具合があった場合は自社で対応する必要があります。
ASP：ASPとはApplication Service Providerの略で、ECサイト運営サービスからサーバーを借りてネットショップを運営する方法です。必要な機能が常に最新の状態で提供され、最も手軽でコストをかけずにネットショップを開設できます
ECサイトのビジネスモデル
ECサイトには以下の5つのビジネスモデルがあります。
- BtoC
- BtoB
- CtoB
- CtoC
- DtoC
BtoC：BtoC とは「Business to Consumer」の略で、企業が個人（一般消費者）をターゲットにして商品を販売するビジネスモデルです。
BtoCモデルに当てはまる有名な大手サイトには、Amazon、楽天市場、Appleなどがあります。
BtoB：BtoBとは「Business to Business」の略で、企業が企業に商品を販売するビジネスモデルです。
BtoBモデルの例としては、約1,800万点以上の商品を扱う通販サイトのモノタロウなどがあります。
CtoB：CtoBとは「Consumer to Business」の略で、個人が企業に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルであり、従来のBtoCとは逆のタイプになります。
例としては、Amazonアソシエイトのアフィリエイトを通してSNSなどで商品を紹介し、企業から手数料を得るインフルエンサーやブロガーなどがあります。
CtoC：CtoCとは「Consumer to Consumer」の略で、個人（一般消費者）同士でものやスキルを売買するビジネスモデルです。
例としてはフリマアプリの「メルカリ」や「ヤフオク」などがあります。
DtoC：DtoCは「Direct to Consumer」の略で、メーカーが自社ECサイトなどを通じて直接消費者に商品やサービスを販売するビジネスモデルです。仲介業者や実店舗を介さないためマージンや経費が抑えられ、その分商品を低価格で提供できることが特徴です。
DtoCモデルはインターネットやSNSの普及により注目を集めています。
ECサイトの例
ECサイトの意味や種類を理解したところで、モール型のECサイトと自社型（ASP）のECサイトの例を見ていきましょう。
モール型ECサイト一覧
・Amazon Japan
Amazon Japan （アマゾンジャパン）は、日本最大級の利用者および集客力がある大手ECサイトです。AmazonでECビジネスを始める場合、基本制約料や月額登録料が異なる「小口出品プラン」と「大口出品プラン」の2種類の方法があります。
・楽天市場
楽天グループが運営する楽天市場はモール型ECサイトの代表的な存在で、多様な商品カテゴリーや圧倒的な出店数、ポイント還元プログラムが特徴です。
・Yahooショッピング
Yahooショッピングは、ソフトバンクグループのZホールディングス株式会社の子会社であるヤフー株式会社が運営するECサイトです。初期費用がかからず、毎月の固定費や売上ロイヤルティが無料なのが特徴です。
・ポンパレモール
ポンパレモールは、リクルートが運営しているモール型ECサイトです。同じくリクルートが運営している「じゃらん」や「タウンワーク」、「スーモ」などの他のサービスの利用者からも流入が期待できるため、強い集客力があります。
・ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、衣料を中心に扱うモール型ECサイトです。欲しいアイテムを検索しやすく、多くのアパレル関係者が注目しているため自社ブランドの認知度を上げやすいという特徴があります。出品手数料は商品価格の20%〜40%と割高ですが、ZOZOが運営する「WEAR」は世界で1,000万ダウンロードされており、高い集客力があります。
・メルカリ
メルカリは国内最大級のフリマサービスで、初期費用や月額費用が無料のため、手軽に商品を出品することができます。販売手数料は10%ですが、ユーザ数が多く販売しやすいのが特徴です。
・eBay
eBayは、190カ国に商品を出品できる世界最大のモール型越境ECサイトです。日本で売れないものや中古品も販売でき、さらに商品購入者のメールアドレスを取得することでメルマガ配信を活用して他商品の販売促進ができるのも特徴です。
自社型（ASP）のECサイトプロバイダー
・Shopify
Shopifyは、世界175か国100万ショップ以上に利用されている月額課金制のECサイトプロバイダーです。デザインが豊富でシンプル且つ高機能なため、高い評価を得ています。初期費用は無料なためECサイトを手軽に構築でき、初めてネットショップを運営する人にもおすすめです。
・BASE（ベース）
BASEは年会費と月額費用が無料で、手軽にネットショップを作成できるECサイトプロバイダーです。サポート体制が充実しており、商品が売れた時に決済手数料とサービス料がかかる仕組みです。
・STORES（ストアーズ）
STORESはスマホからでも手軽にネットショップが開設できるECサイトプロバイダーです。月額費用無料のフリープランと月額1,980円のスタンダードプランがあり、フリープランでは決済手数料が5%で、有料プランでは決済手数料が3.6%に下がります。
・MakeShop （GMOメイクショップ株式会社）
MakeShop（メイクショップ）は、豊富な機能と自由度の高さをウリとし、手軽にECサイトを構築できるECサイトプロバイダーです。ECサイト運営が初めての方のためのサポート体制も整っており、料金は各プランの月額費用と初期費用のみです。
・futureshop （フューチャーショップ）
futureshopは実店舗との連携が可能なECサイトプロバイダーで、月額22,000円からのスタンダードプランと月額81,000円のゴールドプランがあります。店舗・ブランドのファン化のためのキャンペーンが充実しており、経験豊富なECアドバイザーからサポートも受けられます。
・カラーミーショップ（GMOペパボ株式会社）
カラーミーショップは月額費用0円のプランと有料プランに分かれており、専門的な知識がなくてもECサイトを手軽に構築できるECサイトプロバイダーです。
・らくうるカート（ヤマトフィナンシャル株式会社）
らくうるカートはヤマトグループのヤマトフィナンシャルが提供しているECサイトプロバイダーで、ネットショップ開業から運営をサポートしています。「ライトプラン」、「レギュラープラン」、「アドバンスプラン」の3つに分かれていて、ヤマト運輸サービスと高い連携性があります。
ECサイトに必要な機能
ショッピングカート
ショッピングカートは、ユーザーが欲しいと思った商品をカゴに入れる機能です。
ユーザーがECサイトのカートに商品を入れたまま放置して購入に至らない「カゴ落ち」を防ぐため、わかりやすい構造にしたり、対策アプリを導入するなどの対策が必要です。
決済サービス
決済サービスは、ECサイトでの支払いを行う機能です。ユーザーが商品を購入するために、独自の決済サービスや決済代行サービスを利用して最適な決済方法を導入する必要があります。
決済方法には、クレジットカードや代金引換、コンビニ後払い、キャリア決済、QRコード決済など、さまざまな方法が存在します。
受注管理システム
受注管理システムは、ECサイトユーザーからの受注確認、入金確認、キャンセル処理、出荷管理を行う機能です。操作性が良く、業務効率を高められるシステムを導入すれば、商品を消費者に届けるまでの期間を最短にし、顧客の満足度を高められます。
顧客管理システム
顧客管理システムとは、ECサイトを利用するユーザーの顧客情報の収集・管理・分析を行うためのシステムです。
顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、注文履歴などの情報を収集し、管理・分析することで、顧客の嗜好や傾向を把握し、購買行動の予測や顧客ロイヤルティ向上の施策などに活用できます。
集客サービス
集客サービスは、自社ECサイトに顧客を誘導するための機能です。各種SNSとの連携機能やWeb広告配信など、集客の手段として必要な機能を備えているかを事前に確認しておきましょう。
メール配信システム
メール配信システムは、顧客に対してメルマガなどのメール配信を行う機能です。ECサイト運営のためにはリピーターの獲得が欠かせません。そのため、新商品の情報やクーポン情報なども届けるためのメール配信システムが必要です。
セキュリティ
セキュリティ機能は、ECサイトのユーザーが安心して商品を購入するために、サイトを常時SSL化する機能です。ECサイトをSSL化すれば、重要なユーザーの個人情報を保護できます。また、クレジットカードの不正利用を防ぐための、3Dセキュア・セキュリティコード入力も必須な機能です。
ECサイト運営のための業務
商品管理
商品管理業務とは、ECサイトに掲載する商品の管理業務全般を指し、商品IDや在庫品目、単価などの管理、サイトにアップする商品の写真撮影・説明文作成、在庫管理、検品・梱包・発送などが含まれます。
特に、適切な在庫管理ができていないと在庫不足による販売機会の損失や過剰在庫による管理コストの増大などのリスクがあるため、在庫管理システムを導入するなど、商品に合わせた最適な在庫管理を行うことが重要です。
サイト管理
サイト管理とは、ECサイトの運営に関わる一切の管理業務を指します。具体的には、サイトの情報更新やサイトデザイン設計、機能カスタマイズなどがあり、ユーザーが使いやすいECサイトのデザインを設計したり、バナー制作なども行います。
サイト管理は、顧客体験を向上させ、売上を増やすために重要な業務です。
カスタマーサポート
カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせや苦情などに対応する業務を指します。
具体的には、商品の注文に関するトラブルや不具合があった場合の顧客サポートや、注文のキャンセル、変更、返品・交換の手続きなどをサポートします。
商品が届いた後も、不具合や問題が生じた場合には、修理や交換、保証など、迅速かつ適切な対応が求められます。
カスタマーサポート業務を通じて顧客からのフィードバックを積極的に収集し、商品やサービスの改善、顧客満足度の向上につなげることも重要な役割の一つです。
売上管理
売上管理とは、受注管理、入金確認、発注管理などの業務を指します。ECサイトの売上状況を把握し、予算を作成して販売戦略を改善したり、必要に応じて商品を発注することで売上の最大化を図ります。
アクセス解析
アクセス解析業務では、GoogleアナリティクスやSNSの分析情報を基に、狙っているターゲットがECサイトに訪問してくる経路や時間帯、滞在時間、行動や属性などを分析してECサイトを改善します。
集客・販促プロモーション
集客・販促プロモーションでは、ECサイトに訪問してもらうための効果的な集客を戦略的に行います。ユーザーからの信頼度や認知度向上のために、ブログやSNSを活用して商品の情報やセール情報を発信したり、広告を活用することで、新規ユーザーのECサイトへの訪問を促します。
顧客管理
ECサイト運営における顧客管理業務は、ECサイトを利用するユーザーの情報を収集・分析し、ユーザーとの信頼関係を築いて売上拡大につなげるための業務です。
具体的には、ECサイトに登録されたユーザー情報を管理し、購入履歴やアクセス履歴などのデータを分析して、ユーザーのニーズや嗜好を把握します。また、ユーザーからの問い合わせや苦情に対して迅速かつ丁寧に対応し、顧客満足度を高めることも大切な役割です。
さらに、ユーザーに対して、メールやDMなどのコミュニケーションを行い、最新情報やセール情報などを提供することでリピート率を高めたり、新規ユーザーを獲得するためのマーケティング施策も重要です。
経理・帳簿作成
経理・帳簿作成業務は、経費管理や帳簿作成、経費削減のための分析を行います。
決算前には、在庫金額と資産の計上をするために在庫の商品数を確認する「棚卸し」作業も必要です。
Shopifyで運営されているECサイト事例
ここからは、実際のECサイトの中からECサイトプロバイダーのShopifyで構築されたサイトをいくつか紹介します。
S-MALL (スズキ株式会社)
（スズキのS-MALL事例紹介はこちら）
「S-MALL」はスズキ株式会社が運営するECサイトです。
「S-MALL」を通して、二輪・四輪の純正アクセサリー、「オートリメッサ」のオリジナルグッズ、スズキライセンス商品、ハンガリーワイン、ハンガリー産アカシア蜂蜜など幅広い商品を販売しています。
PAUL & JOE（ポールアンドジョー）
（PAUL & JOE（ポールアンドジョー）は20代の女性に大人気なフランスのアイコニックブランドで、コスメや雑貨をECサイトで販売しています。
john masters organics（ジョンマスターオーガニック）
john masters organics（ジョンマスターオーガニック）はアメリカのヘアケア・スキンケアブランドで、オーガニック植物や天然由来の原材料を100％使用した製品をECサイトで販売しています。
J'aDoRe JUN ONLINE（ジャドール ジュン オンライン）
J'aDoRe JUN ONLINE（ジャドール ジュン オンライン）は、JUNが運営するECサイトで、JUNグループのブランドのアイテムを購入することができます。
allbirds（オールバーズ）
（シューズブランドのallbirds（オールバーズ）は、創業者がニュージーランドの元プロサッカー選手とバイオテクノロジーの専門家で、メリノウール、ユーカリの繊維、サトウキビなどの自然素材を使ったサステイナブルな商品を販売しています。
COHINA（コヒナ）
（COHINA（コヒナ）は「身長155cm以下の小柄女性」をターゲットにしたDtoCアパレルブランドのECサイトです。
Minimal（ミニマル）
Minimal（ミニマル）は、カカオ豆の仕入れからチョコレートづくりまで全ての工程を自社工房で職人達が手仕事で行っているチョコレートをECサイトで販売しています。
BAKE（ベイク）
株式会社BAKE（ベイク）は「BAKE CHEESE TART」を主力製品としてスイーツをECサイトで販売しています。
ブルーボトルコーヒー
ブルーボトルコーヒーは、元クラリネット奏者のジェームス・フリーマン（James Freeman）が創業したコーヒーブランドで、ECサイトで自社製品を販売しています。
Nagi（ナギ
繰り返し使える環境に優しい吸水型生理パンツ（吸水ショーツ）を販売している「Nagi（ナギ）」は、ECサイトで自社製品を販売しています。
John Legend（ジョン・レジェンド）
John Legend（ジョン・レジェンド）は、アメリカ合衆国のR&B、ソウル歌手、ソングライター、ピアニストとして有名な「ジョン・レジェンド（John Legend）」の各種グッズ・アクセサリーや音楽を販売しているECサイトです。
EleVen by VENUS WILLIAMS（ビーナス・ウィリアムズ）
EleVen by VENUS WILLIAMS（ビーナス・ウィリアムズ）は、プロテニス選手のビーナス・ウィリアムズが手がけるアパレルブランド「Ele Ven」のECサイトです。
PARIS（パリス）
PARIS（パリス）は、アメリカ合衆国の実業家、ソーシャライト、テレビ番組・メディアパーソナリティ、モデル、女優、歌手として有名なパリスヒルトンがプロデュースしているアパレルブランドのECサイトです。
まとめ
ECサイトの意味や種類、ECサイト運営に必要な機能と業務を実際のECサイトを例とともに紹介しました。
近年、企業や個人もECサイトを構築してネットショップでの販売によってブランドの認知度や売上を向上させています。
競争が激化する中、ECサイトを構築するまでに様々な準備と知識が必要となりますが、この記事で紹介したECサイトの成功例を参考に、事業拡大のためにもネットショップを開設してみましょう。
