オンラインで服を購入することが当たり前のようになり、質の高い服の写真がこれまで以上に重要になっています。1WorldSyncの調査(英語)によれば、2023年の時点で、以前は実店舗で購入していた服をオンラインで購入するようになった人が50%に達しました。
服をオンラインで購入する際、実物を見たり触ったりできないため、顧客は服の小売業者が提供する画像に大きく依存します。2023年の調査(英語)によると、購入を決める際にブランドや小売業者が提供する画像を参考にする買い物客は半数以上にのぼるそうです。
ここでは、ネットショップ用のアパレル撮影に必要な情報を解説しています。アパレルの一般的な商品撮影スタイル、必要な機材、そして売上につながる画像を撮るための手順をぜひ参考にしてください。
アパレル撮影の5つのスタイル
- モデル
- マネキン・トルソー
- 平置き
- ハンガー
- ライフスタイル
モデル
アパレル撮影ではモデルを起用するのが最も理想的です。顧客が自ら商品を着る姿を思い描けるだけでなく、よりプロフェッショナルな印象も与えることができるからです。プロのモデルは、細かく指示しなくても様になるポーズをとってくれますが、高額になるため、プロの写真を見ながら、アマチュアモデルや店員を起用して真似てみるという方法もおすすめです。
マネキン・トルソー
妥当な金額で手に入るトルソーは、動くことがないため取り扱いも簡単でとても便利です。
トルソーへのスタイリングは時間をかけて行い、服が大きく見えてしまうようであれば、ボディにうまくフィットするようにピンで留めましょう。
トルソーが商品の妨げになる、または商品の価値を下げてしまうと懸念しているなら、撮影後のゴーストマネキン加工(英語)をおすすめします。各アイテムの撮影枚数を数枚増やすだけで、商品画像からトルソー部分を取り除くことができ、シェイプやフィットがわかる3D画像ができあがります。
平置き
平置きとは、「平面レイアウト」とも呼ばれ、平らな場所に被写体を配置して真上から撮影することです。
平面レイアウトはソーシャルメディアでもよく使われています。もちろんサイトのコンテンツ用にも活用できます。
平面レイアウトは、商品を着ている姿を誰もが思い描けるような、標準的なデザインの服に適しています:
- Tシャツ
- セーター
- ジーンズ
- スポーツパンツ
- ソックス
スポーツウェアやアウトドア用ギアなどのより複雑なデザインの服は、フィットを見せるためにもモデルかトルソーを使った方がいいでしょう。
ハンガー
ハンガーを使って商品を壁や白い背景越しにかけて撮影する「ハンギング」。商品を目の高さで見せたい時に使用される手法です。予算も安価で済み、他の手法よりも手間ひまかかりません。
ハンギングは、シルクなどの軽量な素材で作られたアイテムの撮影にぴったりです。一度スタイリングの準備をすると、シワにならないのも利点です。
ライフスタイル
使用シーンや服のイメージに合わせて、ライフスタイルのシーンで服を見せるのは、服だけではなくブランドのイメージも表現することができます。ライフスタイル商品写真は通常、自然光で撮影され、色合いやフィット感、スタイリングの選択肢に現実的な背景を提供します。
少し工夫して、地元のきれいな場所や、服のカラーパレットに合う場所を探してみましょう。例えば、グリーンやブラウン、バーントオレンジといったアーストーンの服があるなら、同じようなトーンを持つ茂った森や公園は、写真撮影にぴったりの場所かもしれません。
アパレル撮影に必要な機材
- カメラ
- 照明・ストロボ
- 背景(バックドロップ)
プロの使うような写真スタジオは必要ありません。自宅やオフィス、店舗の一角にある小さな部屋や白い壁があれば十分です。スマホのカメラ、三脚、自然光、そして白い壁があれば十分にいい撮影ができます。バックドロップやカメラ、照明、服を配置するのに十分なスペースがあれば大丈夫です。
カメラ
最新のスマホがあれば、十分いい写真を撮れるはずです。特に、予算が限られていて一眼レフやミラーレスカメラを買えない場合でも、SNS用にカジュアルな商品写真を撮るならぴったりの選択肢です。
よりプロフェッショナルな写真を撮りたい場合、一眼レフカメラやミラーレスカメラを使うだけで一気に差が付きます。ミラーレスカメラは最新の機能やアップグレードが揃っていますが、一眼レフカメラのほうが予算にやさしい選択肢になることが多いです。
カメラをアップグレードするなら、単焦点レンズを一緒に購入するのがおすすめです(カメラ本体とセットでも、別売りでも)。50ミリのレンズは、スタジオ撮影において万能な焦点距離を誇ります。ただし、使用するスペースや求める被写界深度に応じて、50ミリから200ミリの間で固定レンズを選ぶこともできます。
照明
スタジオ撮影では、自然光よりも照明が業界標準です。できればキーライト、フィルライト、バックライトを使って、三点照明を取り入れましょう。この照明の組み合わせは、服のドレープによって生じる影を明るくしてくれます。キーライトは製品に向けたメインの光源で、フィルライトは製品の反対側を照らし、バックライトは製品の後ろから光を当てます。
これらの異なる角度からの照明は、服の写真撮影に最適です。各ライトを移動させることで、縫い目やグラフィックなど、特定のディテールを際立たせることができます。三点照明はオンラインでセット購入できますが(ライトスタンド付き)、個別のスタジオライトを使って自分でセットを組むことも可能です。
背景(バックドロップ)
バックドロップ(背景)は、通常は白や薄いグレーのものが多く、服の色や質感を引き立てるのに最適です。背景に余計なものが映り込む心配もありません。服の色によっては、純白だとコントラストが足りない場合があるので、少しオフホワイトやグレーのバックドロップが役立つこともあります。
既製のバックドロップを購入することもできますが、シーツや大きな紙ロール、キャンバスのドロップクロスなどでも十分に代用できます。
ネットショップのためのアパレル撮影 - 6つのステップ
機材が揃ったところで、ここからはアパレル商品の撮影方法を見ていきましょう:
- 服の準備
- 撮影場所を決める
- カメラの設定
- 撮影
- 画像の編集
- 投稿用の仕上げ
1. 服の準備
服の撮影では、シワやホコリ、毛玉、ほつれに気を配る必要があります。小さなディテールが写真の出来を左右するので、各アイテムをしっかりチェックし、ホコリ取りローラーでさっときれいにしておきましょう。撮影の準備が整うまで、作業スペースから離れたラックに掛けておきましょう。
商品画像用の服の準備は、撮影においてとても重要な出発点となります。しかし多くの人はこのステップを飛ばし、Photoshopや無料の写真編集用ソフトウェア(英語)に頼って、シワやシミなどの目に見える欠陥を修正しようとする傾向にあります。でもそれは決しておすすめできるものではありません。Photoshopの高度な編集技術の習得にはかなりの時間や専門性を要し、また過度な編集は画質を落とすリスクを伴います。
そのため、できるだけ完璧な状態に近い商品を撮影し、Photoshopは最後の仕上げや色補正にのみ使用するようにします。
2. 撮影場所を決める
撮影の日時と場所を決めましょう。ライフスタイルの写真は自然光があればどこでも撮影できますが、時間帯と太陽の位置が重要なポイントです。
ゴールデンアワー(夕日やその直前の時間帯)には暖かい色調が得られ、ブルーアワー(夕暮れや日没直後)には涼しげなトーンが演出できます。ただし、高い建物や茂った木々があると、光の入り具合に大きな影響を与えることがあるので注意しましょう。
部屋の一角などで撮影する場合、撮影場所の周りからは不要なものをどかして、撮影しやすいように整理整頓してください。
3. カメラの設定
スマートフォンを使用する場合は、カメラアプリ内の設定で露出やピントを調整できます。
DSLRやミラーレスカメラの最大の利点は、マニュアルモードや絞り優先モードが内蔵されており、画像を完全にコントロールできる点です。マニュアルモードでは、絞り、ピント、シャッタースピードを調整して、希望の露出を得ることができます。そのため、商品撮影に入る前に、カメラの「ISO感度」「絞り」「ホワイトバランス」機能をしっかりと理解することが大切です。
ISO感度
ISO感度はISO 600〜ISO 640以下に設定しましょう。ISO感度が高いと、グレーや色の付いた斑点のようなノイズやざらつきが生じてしまい、古い映画のような見苦しい画像になってしまいます。ISO感度が高いほどノイズが多く生じるためシャープな写真は撮れず、ディテールがぼやけて写ります。三脚を使えばISO感度の設定値をISO 100〜ISO 200に維持できるので、画像の透明度やシャープネスを最適化することが可能になります。
絞り
カメラ設定で「f」の付いた数値(例:f-16、f-2.8など)で表される「絞り」は、フォーカスを制御するための機能です。通常は絞りの数値が大きいほど、画像のより大きな範囲にピントを当てられるようになります。絞りを「f-11」以上に設定すれば、商品全体をフォーカスすることができるでしょう。
ホワイトバランス
ブルーかオレンジのフィルターを通して撮影されたような写真を見たことはありませんか?それはきっと、ホワイトバランス設定がオフだったからでしょう。光源ごとに色温度が異なるため、「色かぶり」という現象が生じ、カメラが実際の白色を認識するのが困難になります。そのような場合にホワイトバランスを設定することで、カメラが白の色味をどのように認識するかを制御できるようになります。
光源にはさまざまな種類がありますが、最も一般的なのはタングステンランプ、蛍光灯、LED、自然の太陽光などです。
4. 写真の撮影
カメラを三脚に固定して、手ブレを防ぎましょう。そして、カメラをお好みのモードに設定して撮影を始めます。ピントはレンズで手動調整するか、シャッターボタンを半押ししてオートフォーカスに頼ることもできます。
各アイテムの写真を複数枚撮りましょう。服に対して角度を変えたり、服を回転させたり、クローズアップを取り入れることも大切です。生地の質感やアイテムの全ての側面を見せることで、顧客が購入を決める際の迷いを減らすことができます。
5. 画像の編集
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アパレル撮影についてのよくある質問
アパレル商品はどのように撮影すればいいの?
アパレル撮影の設定方法は?
- 適切な撮影機材を入手する
- アパレル商品を準備する
- 写真スタジオをセットアップする
- 照明を設置する
- 商品をスタイリングする
- カメラを設定する
- 写真を撮影する
- サイトにアップロードする